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中谷潤人がクリンチから西田凌佑の右肩を決めて投げ飛ばしたシーン(写真・山口裕朗)
中谷潤人がクリンチから西田凌佑の右肩を決めて投げ飛ばしたシーン(写真・山口裕朗)

統一チャンプ中谷潤人の西田凌佑を“病院送り”にしたファイトは本当に“ダーティー”だったのか…SNSで一部のファンがバッティングやクリンチワークなどを非難

 プロボクシングのWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27、M.T)がIBF世界同級王者の西田凌佑(28、六島)を6回終了TKOで下した統一戦の波紋が広がっている。西田は右肩を脱臼、偶然のバッティングで腫れた右目が塞がったが、SNSで一部のファンが中谷のファイトを「ダーティー」と称して非難したのだ。本当に中谷は「ダーティー」だったのか。

 ブレイク後のボディ打ちのシーンが拡散

 中谷と西田の統一戦は超満員の有明コロシアムを熱狂させた。
 パウンドフォーパウンドにランキングされる中谷が1ラウンドから「1ラウンドから崩してやろうとダメージを与えていくサプライズを実行した」と、まさかの打撃戦を挑み、西田も、その接近戦に左ボディで対抗し、終始前へ出て、左のストレートを何発かクリーンヒットさせた。
 中谷は、西田の偶然のバッティングで腫れた右目と、3ラウンドの途中で痛めたと見られる右肩を「非情かもしれないが勝つために」あえて狙い続けて、6ラウンド終了時点で、右肩の脱臼により西田陣営が棄権した。本人は、試合続行の意思を伝えたが、六島ジムの枝川孝会長が西田の体のことを考えて棄権を決断した。ジムの責任者として素晴らしい判断だった。
 だが、SNSやネットで一部のファンが、中谷のファイトを「ダーティー」だと非難して波紋を広げた。その「ダーティー」を示す切り取った動画が拡散した。
 非難された点は主に3つだ。
①西田が右目を腫らす原因となったバッティングは故意だったのではないか?
②クリンチワークで右肩を固めて投げ飛ばしてわざと右肩を脱臼させたのではないか?
③レフェリーがブレイクを宣告した直後に故意にボディを打ったのではないか?
 そして中谷がラウンド終了時に何度か西田が求めたグローブタッチを無視した態度を「ダーティー」だと指摘する的外れな非難もあった。
 本当に中谷のファイトは「ダーティー」だったのか。
 電撃引退を発表したレジェンドのIBF世界ライト級王者、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と戦った男として知られる元OPBF東洋太平洋ライト級王者の中谷正義氏(現在・大阪吹田市で中谷ボクシングフィットネスクラブ経営)に意見を聞いてみた。ちなみに中谷氏は近大ボクシング部出身で西田の先輩。どちらかというと西田寄りの目線での意見だ。
「レフェリーが反則を取っていないのだからダーティーでもなんでもない。今回、非難されているものは、世界ではある意味、常識的なテクニックですよ。これまでの日本人王者がクリーンすぎてあまり使っていなかっただけで、今後は、こういうテクニックが世界にあり、対処も考えていかねばならないんだと一石を投じたファイトだったと思うんです。逆にここまでやれるのは凄いなと思ったし、そこまで西田が本気にさせたということでしょう。日本のボクシングのレベルを上げることにつながる統一戦だったんじゃないですか?」
 そう中谷を擁護した。

 

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