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大谷翔平が1年10か月ぶりに「1番・投手」で先発出場し、1回だけだったが、最速は161.2キロをマーク(写真:ZUMA Press/アフロ)
大谷翔平が1年10か月ぶりに「1番・投手」で先発出場し、1回だけだったが、最速は161.2キロをマーク(写真:ZUMA Press/アフロ)

「大谷翔平が目指しているものからはまだほど遠い。だから我々は今回の登板を参考にしない」“疑惑ハーフスイング”からの犠飛で打点記録のパ軍”看板打者”マチャドが二刀流の進化に警戒

 ドジャースの大谷翔平(30)が16日(日本時間17日)本拠地でのパドレス戦で、「1番・投手」のリアル二刀流で先発出場し、663日ぶりの復活マウンドに立った。1回、28球を投げて2安打1失点。逆球やボールが引っ掛かる場面もあったが最速は161.3キロをマークするなど、2度目の右肘手術を行った影響を感じさせないスピード、球威、キレをアピール。チームのメンバーや対戦したパドレスの主軸打者からも称賛の声が相次いだ。

 チームメイトのマンシーも驚愕

二刀流のスーパースターが663日ぶりに帰ってきた。ドジャース入団して以来、初めてのマウンド。MLB公式は、登板前から興奮に包まれたドジャースタジアムの様子をこう伝えた。
「観客席では多くが背番号17のジャージを着込み、第1球を投げる前からすでに満員。大谷がフィールドでウォーミングアップを始めると、大きな拍手を受け、彼がブルペンに入るまで左翼線付近に並ぶファンの多くは立ったままだった」
 2021年の本塁打王、フェルナンド・タティスJr.への初球はシンカーだった。それはファウルになり、フルカウントから99.1マイル(約159.5キロ)のフォーシームで詰まらせたが、センター、アンディ・パヘスの打球判断が一瞬遅れたため、ポトリと落ちるヒットとなった。
 続く3年連続首位打者ルイス・アラエスへの初球のフォーシームが指に引っ掛かって暴投となり、走者が得点圏に進んだが、4球目にドジャースタジアムにどよめきが起きた。内角低めのフォーシームが、この日、最速となる100.2マイル(約161.3キロ)を表示したのだ。ただボールとなり、結局、シンカーをセンター前へ運ばれ、無死一、三塁のピンチを背負った。
 迎えたパドレスのチームリーダーの3番マニー・マチャドは、今季ここまで打率.316、10本塁打、43打点の成績を残す。だが、ここで場内に大ブーイングを引き起こす“事件”が起きる。カウント1―2からのスイーパーにマチャドはハーフスイング。明らかにバットは出ていたが、セーフの判定。大谷は両手をあげてクビを振り不満の態度を示した。不可解な判定にペースを乱したのか。大谷はスイーパーを片手で拾われてセンターへの犠牲フライを許してしまった。
 だが、大谷は、ここから切り替えた。4番のガビン・シーツは98.9マイル(約159.2キロ)のフォーシームで詰まらせての二塁ゴロ。続くザンダー・ボガーツは、シンカーで三塁ゴロ。
 30球の予定だった大谷の復帰登板は1回28球で終了。「大谷ルール」により「1番・投手」から「1番・DH」に切り替わって試合出場を続けた大谷は、3回二死三塁からパドレスの先発ディラン・シースが外角低めへ投じた変化球を左中間へ運ぶ同点のタイムリー二塁打で、自らの失点を取り返した。さらに打者一巡の攻撃を見せた4回にも二死一、二塁から、見送ればボールの高めのストレートを強引にライト前へもっていって、この日、2打点目。5-2とリードを広げ、結局、ドジャースは、7人の投手をつぎ込んで6-3で逃げ切り、大谷の記念すべき二刀流復帰試合を白星で飾った。
 試合後、グラウンド内でフラッシュインタビューに応じた大谷は、まず感謝の意を伝え、「結果的には、“いまいち”でしたけど、まあ自分の中でいいイメージを持って前進できる材料はいっぱいあった。いい1日だった」と手応えを口にした。
 大谷は、ノーワインドアップ投法に変え、ショートアームから腕の位置はやや下がる新フォームになっていたが、スピード、球威、そして変化球のキレのすべてが申し分なかった。
 試合後にはチームの内外から称賛の声が集まった。

 

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