• HOME
  • 記事
  • 五輪スポーツ
  • 「一番の敵は迷いだった」中井亜美、トリプルアクセル成功の壮絶舞台裏…中庭健介コーチが明かす「ここぞの場面で勝負強い」理由とは?
なぜ中井亜美はミラノ・コルティナ五輪でトリプルアクセルを成功させることができたのか(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
なぜ中井亜美はミラノ・コルティナ五輪でトリプルアクセルを成功させることができたのか(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

「一番の敵は迷いだった」中井亜美、トリプルアクセル成功の壮絶舞台裏…中庭健介コーチが明かす「ここぞの場面で勝負強い」理由とは?

 ミラノ・コルティナ五輪でインパクトを与えた一人が、日本のフィギュアで史上最年少のメダリストとなった女子シングル銅の中井亜美(17、TOKIOインカラミ)だろう。なぜ彼女は快挙を成し遂げることができたのか。緊急連載でその真実に迫った。

 「練習での成功率は高くなかった」

「この舞台でトリプルアクセルを決めるのが一番の目標でした。夢だったメダルも獲得できて嬉しい気持ちでいっぱいです」
 ミラノ・コルティナ五輪で日本フィギュア史上最年少のメダリストとなった中井は銅メダルを下げてそう口にした。
 SP、そしてフリーで冒頭のトリプルアクセルを2本成功させた。いずれもGOE加点が付く完璧なトリプルアクセルだった。五輪での日本人女子のトリプルアクセル成功は、1992年アルベールビル大会の伊藤みどり、中井が憧れた2010年バンクーバー大会の浅田真央、2022年北京大会の樋口新葉に続く、史上4人目の快挙だった。SPではノーミスの演技で78.71のパーソナルベストでトップに立った。フリーでは3回転ルッツ+3回転トゥループの連続ジャンプで、2つ目の3回転トゥループが抜けて2回転トゥループとなるミスを犯し、後半の3回転フリップにエッジのアテンションと回転不足を取られるなどして、得点が140.45と伸びなかったが、SPの貯金とトリプルアクセルの成功が効いて銅メダルを手にすることができた。シニア1年目の中井が、公式戦でSP、フリーでトリプルアクセルを2本成功したのは五輪が初めてだった。
 なぜ中井はトリプルアクセルを2本成功させることができたのか。その理由をMFフィギュアスケートアカデミーのヘッドコーチで中井を同アカデミーが立ち上がった中学1年から指導している中庭健介氏(44)がこう明かす。
「改めてトリプルアクセルが跳べることが大きいですね。でも練習での成功確率は高くはないんです。シニアの国際試合の公式戦で初めて成功させた昨年10月のグランプリシリーズのフランス大会の時点ではそれほど高くはありませんでした。その後、常にブラッシュアップさせ、試行錯誤してきましたが、五輪前でも半分くらいです。ショートとフリーでどっちかが決まれば、どっちかを失敗するという状況でした。もちろん調子が良ければかなり高い成功率の時もありますが、今回はそういう状態でもありませんでした。一番の敵は”迷い”でした」

 指導者として重要な豊富な語彙や表現力を持つ中庭氏が、その”迷い”が何で、いかにして排除したかをこう説明した。
「最初は、何をやれば成功できるか、のチェックポイントや意識することは、”これしかない”という状況でしたが、成功確率をあげるために、色んな技術指導を行い、試行錯誤をする中で、Aパターンだけでなく、Bパターンでもできる、EでもFでもできると選択肢が増えてきました。でもそれが迷いにつながるんです。だから、今回は五輪の会場にいくと、迷いをなくすために、選択肢を狭めました。これだけをやりなさい、これだけを考えなさい、という絞り方をしたんです。彼女が迷わない状況を作りました。その内容は企業秘密です(笑)。たいしたことではないのですが、フランス大会で意識したことと、五輪で意識したことは変わって、進化してきています」
 加えて「昔からここぞという場面での勝負強さを持っていました」という中井の勝負強さを明かす。
「試合になると、”こうしたい”というマインドになり、それが集中力に変わるのかもしれません」

 

関連記事一覧