「人生の岐路のリングになる」悲壮な覚悟の那須川天心は”レジェンド”エストラーダに勝てるのか…「前半プレスをかけ後半勝負なら勝機」…公開採点、ボディ攻撃、ポテンシャルの覚醒がカギ
プロボクシングのWBC世界バンタム級挑戦者決定戦(11日・両国国技館)の前日計量が10日、東京ドームホテルで行われ、同級2位の那須川天心(27、帝拳)が53.5キロのリミット、元2階級制覇王者、同級1位のファン・フランシスコ・エストラーダ(35、メキシコ)は53.3キロでクリアした。天心は「人生の岐路のリング。腹が座った覚悟の決まった天心を見てもらいたい」と悲壮な心中を明かした。その覚悟で天心は勝てるのか。“ロマチェンコと戦った男”の元OPBF東洋太平洋ライト級王者の中谷正義氏(37)と共に展開を予想してみた。なお試合は12回戦で世界戦と同じく公開採点が採用される。
「自分の生き方の正解が出てくる」
フェイスオフはわずか7秒だった。
「やっぱ強そうだなと思いますよ。いい顔してますしずっと戦ってるだけはある。非常にいい表情してましたね」
天心は元2階級制覇王者のレジェンドにリスペクトの思いを伝えながらも「オレもやってやるよっていう気持ちはあるんで」と付け加えた。
一方のエストラーダに取材を申し入れたが「話をしたくない」と拒否された。早くも戦闘モード。公開練習での異常な汗が気になり、減量が心配されたが、この日、朝からホテルで水抜きを行い、しっかりとアンダーで仕上げてきた。
天心は昨年11月の井上拓真(大橋)とのWBC世界バンタム級王座決定戦に0-3判定で敗れ、格闘技人生の公式戦で初の黒星を味わった。今回はその復帰戦即WBC挑戦者決定戦で、しかも相手が今回が50試合目の豊富なキャリアを持ち、4敗しかしていないメキシコのレジェンド。元4階級制覇の”怪物”ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)とは3度のラバーマッチを行い2勝1敗と勝ち越している。
それでも天心は改めて悲壮な覚悟をまくしたてた。
「プレッシャーとかないんすけど、次の日からの生き方が決まる試合。正直怖いところもあるし、ワクワクするところもある。こういうところに立ててる自分に生きてるという感情が味わえる。前回も、ただ負けたわけじゃない。自分の生き方の正解が明日出てくるんじゃないか。腹をくくった男の姿を見てもらいたい」
そしてこう続けた。
「人生の岐路のリングだと思う。ずっと岐路で、崖っぷちでもある。正解なんてないですから。強くなることだけを思いながら生きてきた。明日はしっかりと腹が座った、覚悟の決まった那須川天心を見てもらいたい」
勝てば5月2日に東京ドームで激突する井上拓真と元4階級制覇王者、井岡一翔(志成)の勝者への挑戦権を得る。だが、負ければ2連敗となり、さらに世界への道は遠のく。天心は「連敗すれば、そこが自分の限界」とも口にしており、重大な決断を下す可能性もあるだろう。
だが「自分自身がどう変わっていくかで今回の試合が変わる。そこへの過程でしっかりとつかんだものはある」との手応えがある。
井上拓真に敗れて環境をガラっと変えた。
粟生隆寛トレーナーとのコンビを解消、中学生の頃に指導を受けていた帝拳OBで世界戦挑戦経験もある「GLOVES」会長の葛西裕一氏とのコンビを復活させた。帝拳には通わず用賀にある葛西氏のジムでトレーニングもスパーリングも行い、週に1度のペースで父の弘幸さんが主宰のキックのジム「TEPPEN GYM」に通った。弘幸さんは「倒すという最も重要な闘争心を植え付けた」という。
天心はエストラーダに勝てるのか。
現役時代にラスベガスで精密機械の3階級制覇王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)へ挑んだ男として知られる中谷氏(現大阪吹田で中谷ボクシングフィットネスクラブを経営)は、「しんどい試合にはなる。勝てるか勝てないか、というより勝たなきゃいけない試合でしょう」と主張した。

