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オークスを制してゲストプレゼンターの倉科カナ(左)に祝福される今村聖奈騎手(右)(写真・スポーツ報知/アフロ)
オークスを制してゲストプレゼンターの倉科カナ(左)に祝福される今村聖奈騎手(右)(写真・スポーツ報知/アフロ)

感動オークス勝利!なぜ今村聖奈は「女性は腕っ節が弱く追い比べに弱い」とのレッテルを剥がし史上初となる女性騎手のクラシック制覇を成し遂げることができたのか?

JRA女性騎手として史上初となるクラシック制覇の偉業が達成された。第87回オークス(24日、東京芝2400メートル、GI)は5番人気のジュウリョクピエロ(牝3、寺島良厩舎)が直線の激しい追い比べを首差制して2分25秒6で優勝。クラシック初騎乗となった22歳の今村聖奈騎手が完璧にエスコートし、競馬史に新たな1ページを刻んだ。3番人気のドリームコアが2着、2番人気のラフターラインズがさらに首差の3着。1番人気の桜花賞馬スターアニスは距離の壁に泣き、12着だった。なぜ今村は歴史を塗り替えることができたのか。


運命の糸で結ばれたコンビ


 夢の扉をこじ開けた。最後の直線で馬群を縫うように追い上げた今村騎乗のジュウリョクピエロはゴール寸前でグイッとひと伸び。首差で栄光をつかむと、今村は拳を力強く握りしめ、喜びをかみしめた。
 3度目の挑戦でJRA女性騎手初のGⅠ制覇をクラシック初騎乗で達成した。世界的な名手のクリストフ・ルメール騎手とダミアン・レーン騎手を従える形でのゴールは、新たな時代の到来を象徴するようなシーンとなった。
「夢を見ているみたいです。関係者とジュウリョクピエロに感謝したいです」

熱いものがこみ上げ、今村は目頭を押さえた。
最大の勝因はジュウリョクピエロの持つ圧倒的なポテンシャルにある。ダートから芝2000メートルに転じて問答無用の2連勝。その衝撃的な勝ちっぷりから陣営が凱旋門賞に登録したほどだ。
 今村も入厩した当初から調教にまたがり「手先が軽い」とその非凡な能力にほれ込んでいた。ただ、父オルフェーヴル譲りのポテンシャルとともに、その激しい気性も引き継いでおり時間をかけてその性格を把握していたことが、その後の飛躍につながった。

 ターニングポイントとなったのは1月4日の京都での「3歳1勝クラス」のレースだった。このとき、ゲート裏で馬が激しく暴れた際、今村騎手は決して手綱を離さなかった。7番人気で1着となったが、もし放馬していれば、その後の忘れな草賞への出走もこのオークス制覇という快挙もなかったかもしれない。

「あの時、手綱を離していたらどうなっていたか」と今村は話したことがあるが、まさに執念が手繰り寄せた運命の結末だった。

「前回、前々回を踏まえ、ゲート入りまでに工夫してくれた厩舎の力、チームでつかみとった勝利です」
 今村はルーキー時代の2022年には51勝を挙げ、女性騎手のJRA年間最多勝記録を大幅に更新した。新人記録91勝の三浦皇成や武豊、福永祐一らには及ばないものの、女子という枠を超え、歴代新人の中でも革命的な出来事だった。

小倉のGⅢ重賞をあっさりと逃げ切るなど、もともと腕と度胸には定評があった。その後、スマホ不適切使用などによる騎乗停止処分や落馬負傷などで成績を下げ、回り道を経験した。自身を見つめ直し、昨年は初めて美浦トレーニングセンターに滞在し環境を変えた。また筋力トレーニングに励み、肉体を徹底的に鍛え上げたことで、フォームが安定してきた。
「成績を落として、本当に悔しい思いもしんどい思いもして逃げ出したいときもありましたが、身近にいた人たちが支えてくれ、恩返しをしなきゃと思っていました」

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