”最後通告”していたのもかかわらずサポーターに複数のガイドライン違反があった浦和レッズにJリーグは2000万円の罰金を科した(写真・アフロ)
”最後通告”していたのもかかわらずサポーターに複数のガイドライン違反があった浦和レッズにJリーグは2000万円の罰金を科した(写真・アフロ)

なぜJリーグは浦和に史上最高額となる2000万円の罰金を科したのか?

 

 Jリーグは26日、新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインで禁止されている声出し応援を一部サポーターが繰り返した浦和レッズに対して、けん責と罰金2000万円を科すと発表した。同日の理事会で承認されたもので、罰金2000万円は2008年の浦和、2010年の大宮アルディージャに並ぶ史上最高額。複数回におよぶ違反行為を「看過できない」と断罪したJリーグは、再発が確認された場合には無観客試合の開催や勝ち点剥奪の可能性もあると警告した。

「複数回に及んでおり看過できない」

 30年目を迎えているJリーグで、史上最高額に並ぶ罰金が浦和に科された。今月上旬の段階で最大2000万円とされていた罰金から、26日に開催された最高議決機関の理事会における承認をへて「最大」の二文字が取り外された。  浦和に対する懲罰処分は、Jリーグの野々村芳和チェアマンがけん責と罰金2000万円を独立した第三者機関の裁定委員会に諮問し、答申を得た上で理事会に諮った。厳罰となった理由を、Jリーグはリリースで次のように説明している。

「浦和レッズに対するサポーターの行為に起因する懲罰事案は、複数回に及んでおり看過できないものとなっている。(中略)短期間のうちに少なくとも複数回にわたり秩序を損なう行為を阻止できなかったことは重く受け止めざるを得ない」

 懲罰の対象としてJリーグが認定した事案は2点。いずれも今シーズンのもので、5月21日の鹿島アントラーズ戦(埼玉スタジアム)のキックオフ前と、7月2日のガンバ大阪戦(パナソニックスタジアム吹田)の試合終了間際となる。

 前者は少なくとも60人のサポーターが北車両門付近に集結し、浦和のチームバスの到着前後に約10分間にわたって声を出して応援。後者ではゴール裏ビジター席上層階において、少なくとも100人のサポーターが約5分間にわたって声を出して応援した。いずれも一部はガイドラインで定められたマスクを着用していなかった。

 Jリーグ規約の第141条は、チェアマンが制裁を科せる個人の範囲を「選手、監督、コーチ、役員その他関係者」と定めている。リーグがサポーターを直接処分できない代わりに、第51条では「Jクラブの責任」を4項目にわたって明記している。

 一部サポーターによる鹿島戦前の行為は第51条第1項の「観客にホームスタジアムおよびその周辺において秩序ある適切な態度を保持させる義務」に、ガンバ戦での行為は同第4項の「試合の前後および試合中において、ビジタークラブのサポーターに秩序ある適切な態度を保持させる義務」に、それぞれ明確に違反していた。

 リリースのなかで、Jリーグはさらにこう言及している。

「集団で声を出して応援することはサポーターによる応援の本質的事項に関わるものであり、声出し応援の禁止等のガイドライン遵守をはじめとする秩序維持にはサポーターの強い自律が必要であって、クラブにはこれを促すための不断の改善努力が求められる」

 

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