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守備でも貢献した久保建英(左)と鎌田大地(右)が互いに流動的にポジションを変えながら連動した(写真:なかしまだいすけ/アフロ)
守備でも貢献した久保建英(左)と鎌田大地(右)が互いに流動的にポジションを変えながら連動した(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

城氏が2-0勝利の米国戦分析「遠藤と守田が安定感をもたらし2列目で久保と鎌田が連動した。だが南野は苦しい立場に…」

板倉、浅野が、このタイミングで怪我を負ってしまったが、もともとレギュラーとは言えなかった2人。バックアップの層の厚さに影響は出るが、そこまで大きな痛手にはならないと見ている。

 一方で「うまくいかなかった点」も指摘しておかねばならない。

 やはりまだ決定力不足だ。この日のアメリカであれば、もっと圧倒できた。チーム内の序列を一気に上げた鎌田もまだ物足りない。3度決定機を逃した。エリア内でハイプレッシャーのかかるW杯では、そう何度もチャンスはない。連携と個の精度を高める必要がある。

 立ち上がりの守備にも問題があった。前半6分にデストに右サイドを突破されてフェレイラをフリーにしてクロスを入れられた。これがドイツ、スペインであれば失点していただろう。W杯では、前半の15分間は特に集中力を高めて守らねばならない時間帯である。なぜその時間帯に守備が不安定になったかを検証して修正することが必要だ。

 そして前半は統一感やリズムがあったが、森保監督にしては珍しく計6人を入れ替えた後半は個の能力に頼らざるを得ない、まるで違うサッカーになってしまっていた。試合後のインタビューで森保監督は「11人だけで勝つのではなく交代枠を使って勝っていかねばならない」と話していたが、今回のW杯は、代表入りメンバーが増えるのだから、最終的なメンバーの人選、バックアップメンバーのレベルアップ、そして交代枠をいかに生かすかが重要になってくる。

 W杯まで残り2か月で、予定されている強化試合は2試合だけ。仕上がりを含めたチームの“現在地“を聞かれれば、答えに窮する。

 この3年半で何を積み重ねられたのか。何を強化できたのか。そこが見えてこない。そのひとつに進歩の見られないセットプレーがある。

 この日は、得点シーンどころか見せ場さえなかった。コーチにスペシャリストを加え、強化を図ってきた部分ではなかったのか。いまさらだがセットプレーはどれだけ劣勢であろうと一発で流れを変えることのできる重要な武器。本番まで手の内を見せたくないという戦略は理解できるが、ぶっつけ本番では成功確率も下がる。残り2試合でセットプレーに関してアイデアのある策を講じていかねばならないだろう。

(文責・城彰二/元日本代表FW)

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