交代を告げられたイニエスタは激怒してペットボトルを蹴り上げた(資料写真:西村尚己/アフロスポーツ)
交代を告げられたイニエスタは激怒してペットボトルを蹴り上げた(資料写真:西村尚己/アフロスポーツ)

途中交代に不満?!神戸が3連勝もイニエスタが激怒

 昨年は名古屋グランパス、サガン鳥栖、浦和レッズ、鹿島アントラーズと3位の座を激しく争っていた。しかし、今回は神戸が直面する状況がまったく異なる。

 開幕から未曾有の不振にあえぎ、5月21日には最下位へ転落した。ここまで3度も監督が交代し、吉田氏が実に4人目の指揮官となる。神戸がもがき苦しむなかで、イニエスタは磐田戦まで10試合連続で先発に名を連ねてきた。

 5月に38歳になったイニエスタの起用について、吉田監督は高温多湿の夏場の戦いも考慮した上で「年齢もあるし、ずっと出るのは難しい」と慎重を期してきた。それでも先発出場を続けてきたのは、チームを何よりも考えるイニエスタが懸命にコンディションを調整し、チームに貢献できると首脳陣にアピールしてきたからだ。

 ただ、吉田体制になってからは8日間で3試合を戦う過密日程だった。しかも、清水戦からは中2日。怪我を負うリスクも計算しなければならない。加えてコンディションに不安を抱える大迫も、時間限定で起用すればピッチ上で違いを生み出せる。

 イニエスタと大迫の交代は、ともに同点の状況で清水戦は後半21分であり、磐田戦では同19分だった。選手のコンディションを把握した上で、今後の戦いも見すえながら、そのなかでゴールを奪える可能性を求めての采配だった。

 吉田監督が会見を終えた直後に、イニエスタはフェラン・サンティ通訳を伴いながら取材エリアを無言で通過した。メディアの呼びかけにも応じなかったが、試合後のロッカールームではいつも通りのイニエスタだったとDF酒井高徳(31)が明かした。

「もちろん満足はしていないと思うけど、やはりキャリアのある選手ですし、何よりも交代を告げられて嬉しいと思う選手はいないと思うので。そういうのは絶対にサッカー選手として持っていなければいけない部分だと思うし、何て言うのかな、全然当たり前の反応というか、みんな理解しているし、誰もとがめることもないので」

 清水戦の後半アディショナルタイムに劇的な決勝ゴールを決め、神戸を最下位から脱出させた大迫は、磐田戦でも後半31分に決勝点となるPKをゴール左上へ豪快に蹴り込んだ。武藤がPKを獲得した直後から自分が蹴るとばかりにボールを抱えていた大迫は、ゴールを問われると「気持ちです」と、ごく短い言葉に思いを込めて答えた。

 大迫や佐々木ら、交代で入った選手たちの胸中を慮るように酒井が続ける。

「代わって入った選手たちが、そういう(悔しい思いをした)選手たちの気持ちを背負ってプレーしなければいけない。サコ(大迫)や(佐々木)大樹は得点であるとか、流れをつかむようなプレーをしてくれた。それもあってのチームとしての戦いなので」

 

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