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大谷とジャッジの今季打撃成績比較
大谷とジャッジの今季打撃成績比較

明日メジャーMVP発表!大谷翔平は本当に不利なのか…”大本命”ジャッジとのMVP争いの行方をもう一度考察してみた

歴史的偉業に関していえば、ジャッジは62本塁打を放ち、ロジャー・マリスが1961年に記録した61本塁打を更新し、ア・リーグ記録を塗り替えた。メジャー記録はバリー・ボンズ(ジャイアンツなど)の73本で、ジャッジの上にはマーク・マグワイア(カージナルスなど)、サミー・ソーサ(カブスなど)がいるが、“例の問題”により、比較が難しい。
 よって、ジャッジの62本の歴史的価値がより高まっているのだが、大谷の規定打席、規定投球回数到達は史上初。二桁本塁打、二桁勝利は1918年のベーブ・ルース以来。15勝、30本塁打、200奪三振は今後、それを超える選手が出てくるとは想像し難い。派手さではジャッジに分があるが、それぞれの希少価値は甲乙つけがたい。

 大谷がリードを許しているとしたらインパクトの部分。しかも、この要素は軽視できない。そもそも本塁打は過大評価されている面があるが、ルース、マリス超えのニュースはシーズン終盤、連日のように全米で報じられた。最後、ヤンキースのテキサス遠征では、ジャッジのホームラン見たさに4日間で13万人以上が球場に駆けつけた。
 一方、エンゼルスも9月20日からテキサスで3連戦を行ったが、総観客動員数は3試合で5万6654人。1試合平均での倍近い差は、ジャッジのインパクトの大きさを如実に伝えていた。
 そのインパクトについて、スポーツ・イラストレイテッド誌のトム・ベルドゥーチ記者が、こう書いていた。

「大谷はチェーンソーをジャグリングしているようなもの。でも、2回目、3回目になれば、人はそれを見ても、それほど驚かなくなる」
 仮に、今年初めて二刀流として結果を残していたのであれば、ジャッジの62本塁打さえかすんだ可能性があるが、2回目ということで、麻痺しているーーというのだ。

 個人成績は昨年を上回っており、本来、2年連続で結果を残すことのほうが難度は高く、別のスポーツ・イラストレイテッド誌の記者は、「大谷は今年、一つのチェーンソーに火を付け、片足でロープの上に立ち、バランスを取りながらジャグリングをした」と進化を評価したが、少数派か。
ア・リーグMVPの投票権を持つ30人の記者は、いったいどんな判断を下すのか。発表されるのは17日(日本時間18日)。今回、二刀流の価値をどう評価するのかが、昨年以上に問われることになる。
(文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)

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