岡田監督は2005年の優勝時には金本元監督を4番に起用していた
岡田監督は2005年の優勝時には金本元監督を4番に起用していた

岡田阪神の打線強化テーマは“脱・金本打法”

 岡田監督は、この3年間の金本氏の打撃理論がチームに影響力を与え今の「ストレートに弱い」打線につながっているのではないか、と見ている。
「クライマックスシリーズを見ていると、ヤクルト打線との違いは、ボールの見極めと、ストレートに対する弱さやろう。佐藤、大山が、その象徴やけど、タイミングが遅くて立ち遅れるのよ。だから球威のある投手のストレートに差し込まれる。動くボールへの対応も、動く前に前で打てばええのよ。ここをなんとか直したい」
 これが岡田監督が、この秋、全員に語りかけ、大山、高山ら各打者にワンポイントレッスンをするなど、積極的に取り組み始めた「少し変えれば」の根本的部分だ。
 佐藤は、金本氏の教えを受けたわけではなく、金本氏の監督時代を知る主力選手は、大山、梅野、糸原、北條、陽川くらいしかいないが、ボールを前でさばけるバッターがあまりにも少ない。
 また金本監督の1年目に球団の新人の最多安打記録を更新する136本のヒットを打ち、新人王を取った高山が、2年目の途中から、打撃不振に陥って低迷。結局、レギュラーの座を失ってしまったが、この急降下も、金本氏の打撃理論の消化不良が、打撃を狂わせる原因のひとつになったのではないか、と推測している。
 岡田監督がこんな話をしていた。
「高山にしても佐藤にしても入ってきたときが、一番良かったやないか。それがなんでか?ということよ。もちろん相手チームの研究もあるやろうが持っている能力が出せなくなってるやん。そこまでの選手やったという見方もあるかもしれんけど、そうやろうか。オレはちゃうと思うんよ」
 日本一になったオリックスや、リーグ連覇したヤクルトに比べて、そもそもチーム全体としてバットスイングが鈍いという根本的な問題もあるのだが、岡田監督は、打撃に対する考え方を「引き付ける」から「前で打つ」に変えて、修正に取り組むだけで、ストレートに弱いという弱点を克服して、打線にプラスアルファが生まれると考えている。“脱・金本打法”が、来年“アレ”を狙うために重要な、この秋のテーマだ。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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