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本塁打を放った際の大谷翔平のこのポーズの意味とは?(写真:CTK Photo/アフロ)
本塁打を放った際の大谷翔平のこのポーズの意味とは?(写真:CTK Photo/アフロ)

侍Jの白井ヘッドが明かす知られざるWBC秘話…「野手コーチ全員が大谷翔平のストッパー起用を知らなかった」

  WBCを制した侍ジャパンでヘッドコーチを務め、栗山英樹監督(61)を支えた白井一幸氏(61)が30日までにRONSPOの独占インタビューに答え、3大会、14年ぶりに世界一を奪還するまでの舞台裏を明かした。大谷翔平(28)との間で交わされた“人さし指ポーズ”の秘密や、米国との決勝で胴上げ投手になるまでの経緯、不振にあえいでいた村上宗隆(23)の5番降格、豪州戦前のミーティングで白井氏があえて檄を飛ばした真意などの秘話を聞いた。

 大谷の“あのポーズ”が意味するもの

 

 日本中に感動と興奮を与え、未曾有のフィーバーを巻き起こした侍ジャパンには、まだまだ知られざるドラマがあった。
 豪州との1次ラウンド最終戦。初回に東京ドームの右中間スタンド最深部に設置された自身のCM看板を直撃する、推定飛距離約140mの特大先制3ランを放った大谷が、ゆっくりとダイヤモンドを回っている間に見せた“あるポーズ”を覚えているだろうか。
 三塁ベースを回った直後。大谷は右手の人さし指を、三塁コーチャーの白井氏へ向けてから歓喜のタッチを交わしている。
 大谷が在籍していた日本ハムで2014年から4年間三塁コーチャーを務めた白井氏が、その理由を明かす。
「あれはファイターズ時代からよくやっていたんです」
 懐かしそうに、こう振り返った。
「ファイターズのときは、僕が眼鏡の右側を右手でこすった場合には『ここはホームランを打て』という意味を込めていました。サインというよりは合図で、大谷を含めて、実際にホームランを打った選手は『打ちましたよ』とあのポーズを見せていたんですね。もっとも、豪州戦のあの場面に関しては、僕自身は眼鏡をこすっていなかったんですけどね」
 先攻の日本にとってどうしても先制点がほしかった場面で、自身が出場を熱望してきたWBCで待望の第1号を放った。白井氏からの合図はなかった。それでも主軸の責任を果たし、夢のひとつをかなえた喜びが、大谷に日本ハム時代の“儀式”を思い出させた。

【村上の5番降格と逆転サヨナラ打の裏舞台】
 1次ラウンドを4戦全勝で1位突破した日本は、準々決勝でもイタリアに9-3で快勝した。栗山監督は負ければ終わりの一発勝負で、中国との初戦から大谷の次の4番を任せられながら、深刻なスランプに陥っていた村上を5番に下げている。
 日本ハム時代から、栗山監督は選手ともコーチ陣とも食事時には距離を置くという。一人でホテルの部屋で食事を取る様子はわからない。それでも日に日に痩せていく姿が、食欲の減退を含めて、代表監督だけが感じる重圧を物語る。その指揮官から「村上の打順を変えようと思う」と告げられたのは、イタリア戦前日の練習時だったと白井氏は記憶している。

 

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