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浦和レッズがACLを制した。ベテランの興梠慎三がトロフィーを手にする(写真:ロイター/アフロ)
浦和レッズがACLを制した。ベテランの興梠慎三がトロフィーを手にする(写真:ロイター/アフロ)

なぜ浦和レッズは枠内シュート「ゼロ」で5大会ぶり3度目のACL優勝を成し遂げたのか…ベテラン2人が知る4年前の悔しさと前線ハイプレスの新スタイル

 浦和の下部組織から流通経済大を経てトップチームとプロ契約を結んで3シーズン目。憧れてきた光景を目の当たりにして、万感の思いが込み上げてきた。キックオフ前の選手入場。メインとバック、そして北と南のゴール裏スタンドが一体となって出迎えてくれた。
「幼いころからこのピッチに立つのが夢でした。最高の雰囲気で後押ししてくれたし、このサポーターと優勝の喜びを分かち合いたいと思ったんです。サポーターの存在は本当に心強かったですし、サポーターのおかげで勝ったと言っても過言ではないと思います」
 昨年11月から12月にかけてカタールW杯が開催された関係で、今回のACLは年をまたいでの長期開催となった。東地区は昨夏に浦和が代表を勝ち取ったが、西地区のノックアウトステージが行われたのは今年2月。その間に日本はシーズンが変わり、浦和からはFWキャスパー・ユンカー(29、名古屋グランパス)、FW江坂任(30、蔚山現代)らが移籍した。
 もっといえば、今回のACL出場権は2021シーズンの天皇杯制覇で手にした。セレッソ大阪との準決勝をDF宇賀神友弥(35、FC岐阜)、大分トリニータとの決勝をDF槙野智章(35、昨シーズン限りで引退)と、その年限りで浦和を去った選手たちのゴールで制した。
 浦和へ注がれたレジェンドたちの熱き思いも介して、ACLの戦いの軌跡が紡がれた今シーズン。新任のマチェイ・スコルジャ監督(51)のもと、前線からのハイプレスを土台にすえた新スタイルを構築している過程で3度目のアジア制覇を成就させた。北海道コンサドーレ札幌への期限付き移籍を経て2シーズンぶりに愛着深い浦和へ復帰した興梠が言う。
「ACLを(個人で)2度取ったのも記録に残るけど、ACLを取ったその年にJリーグを制したチームはまだない。そこを目指していきたいと思います」
 ともにノーゴールで開幕連敗を喫した浦和は、第3節以降で7戦連続無敗(5勝2分け)とV字回復。消化試合数が少ない暫定順位ながら、首位のヴィッセル神戸に勝ち点6ポイント差まで迫っている。アル・ヒラルを抜き、大会史上で最多となる3度目のACL制覇で得た至福の喜びを自信と勢いに変えて、浦和の新たな挑戦が始まろうとしている。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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