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“ネクストモンスター”中谷潤人が聖地のラスベガスでの衝撃KOで2階級制覇に成功した(写真・AP/アフロ)
“ネクストモンスター”中谷潤人が聖地のラスベガスでの衝撃KOで2階級制覇に成功した(写真・AP/アフロ)

なぜ“ネクストモンスター”中谷潤人は全米メディアの称賛を受けるラスベガスの衝撃KO勝利で2階級制覇に成功したのか

 勝利の確信があった。9ラウンドにはアッパーを4連発。そして11ラウンドには、華麗なワンツーがヒット。マロニーは右手をキャンバスについて尻もちをつき、2度目のダウンを喫した。マロニーは、それでも立ち上がって向かってくる根性を見せたが、中谷は、最終ラウンドに、その闘争心までを衝撃の左フックで粉砕したのである。
 正直、ここ数戦の中谷には、潜在能力をリングで発揮しきれていない物足りなさを感じていたが、減量苦から解放されたスーパーフライ級、しかも、ラスベガスという大舞台で見事に覚醒した。
 この試合はヘイニーvsロマチェンコ戦で採用された有料のPPVではなく、ESPNで無料放送されていた。ESPNの実況アナウンサーは「年間最優秀KO賞の候補になるKOだ」と絶賛した。
 全米の権威あるリング誌も「残忍なKO劇」という見出しを取って、この試合を報じ、中盤にモロニ―が接近戦で反撃を開始した際にも、「中谷は、彼の意志を押し通し始めた。モロニーのパンチを避けるためにサイドステップを使い、一連のパンチとコンビネーションで効果的に対抗した」と評価した。
 中谷がリングを去る際、場内のスクリーンにKOシーンが流され、どよめきと歓声が起きたという。WBO世界フライ級王者時代から“ネクストモンスター”との呼び声が高く、練習拠点としている米国ロスでの関係者間の評判が凄かった中谷は、全米へアピールに成功した。
 独自のベルトとランキングを発表しているリング誌によれば、この試合が始まる前の段階で中谷は6位。ちなみに同誌のスーパーフライ級のチャンピオンは、WBC世界同級王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)で、今回、WBOのベルトを返上、6月24日に挑戦者としてWBA世界同級王者のジョシュア・フランコ(米国)と再戦する井岡は2位に評価されている。
 中谷は、次なる目標について「まだまだベルトを獲りたい。統一戦をやりたい。相手はチャンピオンなら誰でも」と語った。
 王座決定戦の後は、まずは指名試合を行うのが慣例のため、中谷のベルト統一ロードは、V1戦で防衛を果たした後になるだろう。
 WBC王者は、井岡もターゲットにしているスーパースターのエストラーダで、WBA王者は、井岡が再戦するフランコ。井岡が新王者となれば、井岡vs中谷の気運が高まるのかもしれないが、そもそもの指名試合を回避した井岡陣営の興味は薄く、現実的にはIBF世界同級王者のフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)が、2つ目のベルトのターゲットになるのかもしれない。中谷の戦績はこれで25戦全勝(19KO)となった。

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