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日本選手権の女子100mハードル決勝の誤表示問題で振り回され、世界陸上代表内定を逃した福部真子(右)は号泣した(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
日本選手権の女子100mハードル決勝の誤表示問題で振り回され、世界陸上代表内定を逃した福部真子(右)は号泣した(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

なぜ陸上日本選手権で女子100mハードルの1位→4位の“誤表示”が起きたのか?…天国から地獄の福部真子に同情の声と優勝した寺田明日香の苦言…世界陸上代表はどうなる?

 なぜこのような手違いが起きてしまったのか。
 日本陸連は文書で、「LIVEリザルト(判定中)における福部真子の1着表示は、写真判
定員の着順判定中の記録が大型映像に出力されてしまったため、正式着順、記録とは違
うものが一時表示された。しかし、OFFICIALリザルト(確定)では正式な着順に訂正し
、リザルトを確定した」と説明した。
 陸上競技はこのような人為的な〝ケアレスミス〟が度々起きている。
 場内アナウンスが選手の名前を間違えて呼んでしまうこともあるし、速報タイムで誤っ
て別のレーンが表示されることもある。この日も男子110mハードル予選で、トラック
タイマーが世界記録を上回る記録が誤表示された。
 たいていの場合は〝明らかな間違い〟なので、関係者や観衆も「おかしいよね」で済む
のが大半だ。しかし、今回は少し事情が異なる。

 4人のストーリーを考えると、このようなミスが許されないような状況だったのだ。
 日本歴代記録は4人が上位を占めており、福部が12秒73、青木と寺田が12秒86、田中が12秒89。日本選手権の直近3年間は青木(20年)、寺田(21年)、福部(22年)が優勝している。2週間前のセイコーゴールデングランプリ横浜は寺田が12秒86(+0.4)で
制して、田中が12秒89、福部が12秒91、青木が12秒94とハイレベルな戦いを繰り広げた。
 今回の日本選手権でも4人は準決勝から大接戦を演じている。1組は青木と田中が0.01
秒差、2組の福部と寺田は同タイム(0.005秒差)。4人のうち誰が勝つのかわからな
い状況だった。加えて、今大会はアジア選手権(7月)、ブタベスト世界選手権(8月
)、アジア大会(9~10月)の選考会になっている。日本代表を勝ち取るには上位に入
る必要があったのだ。
 ブタベスト世界選手権の参加標準記録(12秒78)を突破しているのは福部ひとりで、「3位以内」に入れば、即内定となる状況だった。しかし、誤表示で「1位」から「4位
」に転落。連覇を逃しただけでなく、ブタペスト世界選手権の代表内定も手にすること
ができず、アジア選手権の代表(2名)も難しくなったのだ。
 そのため福部への同情の声は大きい。
 ただ本人は、「寺田さんが前に出ていたのは分かっていた」と自身が「負けた」ことを自覚していたようだ。
 それでは福部のブタペスト世界選手権日本代表入りはあるのか。日本陸連が定めた「選
考条件」をチェックしてみると、以下の順番になっている。
5)日本選手権3位以内の成績を収めた競技者であって、参加標準記録有効期間内に参
加標準記録を満たした競技者。
6)基準ワールドランキングにより本大会の参加資格を得た者で、日本選手権3位以内
の成績を収めた競技者。
7)参加標準記録を満たした競技者。

 

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