トルコ1部のアンタルヤスポルでプレーしていた中島翔哉の浦和レッズ入りが発表された(資料写真・西村尚己/アフロスポーツ)
トルコ1部のアンタルヤスポルでプレーしていた中島翔哉の浦和レッズ入りが発表された(資料写真・西村尚己/アフロスポーツ)

なぜ浦和レッズは中島翔哉を獲得したのか?

 浦和はすでに、鹿島アントラーズで「10番」を背負い、2019年7月にはバルセロナBへ加入していた安部も獲得している。ただ、安部は右大腿二頭筋腱の断裂をはじめとする怪我の連鎖に苦しみ、2021年8月以降は登録外となってリハビリを重ねてきた。
 バルセロナBとの契約満了に伴って6月末に退団し、以前から安部の動向をチェックしてきた浦和に加入した。14日の加入会見ではこんな言葉を残している。
「みなさんもご存知の通り、だいぶ前から怪我もありましたので、チームのメディカルスタッフと協力しながら少しでも早い復帰を目指しています」
 ともに日本代表経験がある中島と安部に対しては、トップフォームを取り戻すことを前提とした獲得と言っていい。浦和の西野努テクニカルダイレクター(52)は、プレー面における安部への期待として「いまの浦和レッズに欠けている、得点を生む上でのペナルティーエリア付近の質を上げてほしい」と語っている。同じ期待が中島にもかけられる。
 全体の約3分の2にあたる21試合を終えたJ1リーグ戦で、浦和は首位・ヴィッセル神戸と勝ち点7ポイント差の4位につけている。神戸と並ぶリーグ最少の総失点17と堅守がチームを支えている一方で、総得点27はリーグ全体で8位。神戸の42得点、さらにリーグ最多の横浜F・マリノスの44得点に大きく引き離されている。
 チーム最多得点者はFW興梠慎三の4ゴール。36歳のベテランが奮闘し、開幕直後に追加登録されたFWホセ・カンテ(32)らが並ぶ。しかし、在籍2年目のブライアン・リンセン(32)が2ゴールで、アレックス・シャルク(30)は1ゴール。出場機会が激減していた「10番」の前任者、MFダヴィド・モーベルグ(29)は今夏にギリシャへ新天地を求めた。
 そのなかでトップフォームを取り戻した場合には計算が立つ安部、そして中島を立て続けに獲得した。夏の移籍市場で際立った動きを見せる浦和の補強戦略は、攻撃の質を高めるだけでなく、攻撃陣の陣容そのものにも厚みを持たせる方針に導かれている。
 浦和はリーグ戦に加えて、ともに勝ち残っているYBCルヴァンカップと天皇杯を戦い、さらに秋春制へ移行したAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフも控える。これを勝ち抜けば国内シーズンの後半戦と、ACLのグループリーグを平行して戦っていく。

 

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