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阪神が9連勝。2位の広島に7ゲーム差をつけ“アレ”へ向けての独走態勢を固める
阪神が9連勝。2位の広島に7ゲーム差をつけ“アレ”へ向けての独走態勢を固める

なぜ阪神はヤクルトとの5時間16分の激闘を制して9連勝を飾れたのか…岡田監督が唱える「普通にやるだけの野球」とは?

 

 ベンチの手腕が試される重要な場面でまだ岡田采配が炸裂した。
 1点を追う6回だ。一死一、三塁から坂本の初球にセーフティ―スクイズのサイン。
「今日はヒットもそんなに出なかった。裏だからまず同点」
 ヤクルトのバッテリーはノーマークで、坂本が確実に投手の右に転がすと、その打球は大西のグラブをすり抜けて内野安打となった。
 これで9連勝。連勝の序盤戦で「ちょっと強くはなってきたが、大型連勝をする勢いまではどうなんやろう」と語っていたが、夏のロードの球団記録を塗り替えた。貯金は23まで伸び、阪神を追うはずの広島が引き分けを挟んで5連敗と失速したためゲーム差は7に広がった。
 それでも岡田監督は、こう言う。
「別になんとも思っていないですよ。毎試合、毎試合勝つためにやっているだけ。積み重ねですからね」
 なぜ阪神は9連勝を果たしたのか。
 岡田采配は語るまでもなく、支えているのは、先発、ブルペンを軸とした投手力とキャンプからの意識付けが浸透している守備力だろう。この日、先発の青柳は、2回に投手のサイスニードへの押し出しの四球を与え、4回には二死三塁から暴投で同点にしてしまうなど、エースとは呼べない不甲斐ない投球でリードを守れなかったが、6回から6投手が無失点リレーでサヨナラ舞台を演出した。
 6、7回は桐敷。6回裏に木浪の併殺でイニングが終わり、桐敷の打席まで回らずに代打を出さずにすみ7回に続投させることが可能になった展開を岡田監督は「大きかった」と指摘した。運も味方につけ、8回は、8日の巨人戦以来の登板となった岩貞が素晴らしいキレと低めに徹底したコントロールで三者凡退。
 そして、ここからの岡田監督の継投の人選もさえた。同点の9回に後攻チームはクローザーを送り出すのがセオリーだが、岡田監督は、先に加治屋を送った。9回は下位打線。10回はトップから左打者が並び、一人走者を出せば、4番の村上まで回る。延長も想定しての岡田采配だった。その加治屋は中村、長岡を連続三振。内山に四球を与えたが、快速が脅威の並木を投手ゴロに封じ、10回は、岩崎が村上、塩見への連続四球などで一死満塁の大ピンチを作ったが、ストレートで押す気迫あふれる圧巻の投球を見せた。代打の山田を三球三振。続く中村も連続三振に打ち取った。11、12回は左腕の及川。及川は1本のヒットも許さなかったが、12回二死からカウント3-1まで勝負した村上を結局、申告敬遠で歩かせると、岡田監督は、万全を期して塩見に馬場をぶつけた。スプリットがよく落ちた。ヤクルト打線のキーマンをショートゴロに打ち取り、チームの負けをなくした。
 重なる美技も観客をわかせ、チームに一体感を植えつけた。
 初回には、武岡のセンター左を襲う打球を近本が背走キャッチ。5回一死一、三塁からの宮本の右中間への打球も森下が好捕した。勝ち越しの犠飛にはなったが、もし森下の好守がなければ一塁走者も還っていた。また2回には一死満塁で長岡のレフトフライで三塁走者の村上はタッチアップを自重した。打球は浅かったが、これもノイジーのチャージと、ここまでの好守備のデータが、ヤクルトの三塁コーチにインプットされていたからだろう。守りの強固さが、先発防御率2.97、救援防御率2.22の投手陣を支えている。

 

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