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カープの新井監督が神采配を見せて連勝でCSファーストS突破を決めた(資料写真・黒田史夫)
カープの新井監督が神采配を見せて連勝でCSファーストS突破を決めた(資料写真・黒田史夫)

CSファイナル進出決めたカープ新井監督と横浜DeNA三浦監督の采配はそんなにも違っていたのか…機を見た決断と後手に回った読み違い

 セ・リーグのCSファーストステージ第2戦が15日、マツダスタジアムで行われ、広島が横浜DeNAに4-2で競り勝ち、連勝で5年ぶり5度目のファイナルステージ進出を決めた。新井貴浩監督(46)の采配がズバズバと決まり、3番の西川龍馬(28)に2度バントを命じるなどの執念采配を見せた。一方の横浜DeNAの三浦大輔監督(49)は上茶谷大河(27)の回跨ぎ継投が裏目に出るなど采配が空回りし、第3戦に先発予定だったトレバー・バウアー(32)が投げないまま終戦を迎えた。日本シリーズ進出をかけた阪神と広島の戦いは18日から甲子園でスタートする。

 サプライズ演出の新井劇場

 

 サプライズで始まりサプライズで終わった“新井劇場”だった。
 まずは始球式。5分前に新井監督が2日連続観戦に訪れていたカブスの鈴木誠也に始球式を依頼、自らのシューズとジャージを貸して、元監督の山本浩二氏が投げる打席に立たせた。そしてCS突破を決めた後の場内挨拶では、新井監督が「まず私の挨拶の前に選手を代表して今日もナイスピッチングでした最優秀中継ぎ投手島内より皆様にひとことお礼を申し上げます」と、まったく予定のなかった無茶ぶり。苦笑いでマイクの前に立った島内は「しっかり甲子園でも勝ってマツダスタジアムに帰ってきます」と、うまくまとめて、場内は大歓声に包まれた。
 新井監督はCSの戦いそのものをまるで演出家のように楽しみ差配していた。
 CS前日の公式会見で「WBC決勝で先発した世界一の投手。なかなか点を取るのは難しい」と“褒め殺し”にしていた今永の立ち上がりに菊池が9球、野間が8球粘り、西川が8球目の149キロの高めに浮いたストレートをライトスタンドに運んで先制した。初回に28球を投げさせて今永にボディーブローをお見舞いした。
 “神采配”が繰り出されたのは6回からだ。
 先発の森下が先頭の林にライトフェンス直撃の二塁打を打たれ、続く楠本に送られて一死三塁とされると、大田を迎えたところで大道にスイッチした。大道は大田を147キロのストレートで押し込みセカンドフライ。続く牧には、全球ストレート勝負で、最後は外角高めのボール球に手を出させてライトフライに打ち取った。
 森下が初回から飛ばしていたため「一死三塁になれば大道」と早めの継投を決めていたという。
 そして、その裏、大道の代打に送った末包が、今永のチェンジアップをレフトスタンドへ。新井監督がCSのキーマンにあげていた一人。「なかなか運だけでは打てない」と、その一発を絶賛した。
 一方の横浜DeNAも簡単にはギブアップしなかった。
 7回にマウンドに上がった中崎から宮崎、大和が連打。山本にバントで送らせ、二、三塁にすると、関根が代わったターリーからショートの左を破るタイムリー。捕れた打球だったが、矢野が差し出した逆シングルのグラブの下をすり抜けた、さらに一死一、三塁と続くチャンスに代打のソトがセンターへフライを打ち上げた。浅いフライだったが、ソトの打席途中で、三塁走者を大和から知野に代えていた横浜DeNAはタッチアップにGOサイン。打球に太陽が重なる時間帯でもあり、秋山がしっかりとした助走をつけて送球できずバックホームは大きくそれて、知野がホームイン、同点に追いついた。だが、引き分けでも終戦。しかも先攻。一気に勝ち越さねばならなかったが、シリーズ男的な存在になりつつあった林は変化球に体が開き、空振りの三振に倒れた。
 新井監督と三浦監督の采配力が明暗を分けることになったのは8回の攻防だった。

 

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