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なでしこの池田監督のとった戦術にSNS上では賛否両論(写真・アフロ)
なでしこの池田監督のとった戦術にSNS上では賛否両論(写真・アフロ)

「無気力試合では?」「いや苦渋の戦略」パリ五輪予選なでしこJの戦いに賛否…なぜ池田監督は追加点を狙わせなかったのか?

 各グループとも2試合を終えた時点で、グループAは2戦合計で10ゴール無失点のオーストラリアが首位。グループBは韓国と北朝鮮が1勝1分けで並び、得失点差で大きくリードしている韓国が首位に立ち、北朝鮮が2位の最上位国となっている。
 なでしこにとって最悪のシナリオはグループAの2位が最終予選に進出し、先の女子W杯でベスト4に入ったオーストラリアと戦う組み合わせとなる。中3日で迎える第2戦をアウェイで戦う日程も、南半球への長距離移動などを考えれば過酷な条件となる。
池田監督は多くを語らないが、ウズベキスタンが2位の最上位国なる可能性を残すためにも、大量得点での勝利を避けたと考えられる。ウズベキスタンは現時点で1勝1敗、得失点差マイナス1で11月1日の最下位・インドとの最終戦を迎える。
2位の最上位国になった上での最終予選進出を見すえていたからこそ、ウズベキスタンを率いる元日本女子代表の本田美登里監督(58)も、なでしこにつき合うように前半15分以降は無理に攻めず、シュート数も0のまま2点差での敗戦を受け入れたのだろう。
オーストラリアとの対戦は避けられても韓国や、もしくは北朝鮮と最終予選で対戦する状況もありうる。しかも後者の場合、アウェイ戦が平壌となる可能性もある。それでもウズベキスタンにしっかり勝利した上で、最善の道を今後へ残した池田監督の判断を後押しするポストも、前出のJFAなでしこサッカーの公式Xには寄せられている。
「枠が限られたパリ五輪出場権獲得のための批判覚悟での苦渋の戦略ですね」
「批判のコメントも多いですがこれはレギュレーションの仕組みをふまえての戦術です」
「全力で点取ると損する仕様にしたAFCに責任があると思う」
「ウズベキスタンも可能性を残したし、お互いの利害関係が一致しただけ」
「オリンピックで批判勢を黙らせてください」
「西野監督の時の男子も同じような策をしたのを思い出した」
 2018年の男子W杯ロシア大会のグループリーグ最終戦では、日本が残り十数分であえてポーランド代表に0-1で敗れる状況を選択して賛否両論が巻き起こった。
 このままのスコアで負けた場合、勝ち点、得失点差、総得点のすべてで、直接対決で引き分けていたセネガル代表と並ぶ。最終的にはフェアプレーポイントに委ねられ、もらったイエローカードが少ない日本が2位になって決勝トーナメントへ進んだ。
 同時間帯に行われていたもう一戦で、コロンビア代表にリードされていたセネガルが追いつき、逆転する可能性もあった。それでも日本を率いた西野朗監督(68)は最少失点で敗れる賭けに出た。世界からも反論が寄せられたが、2大会ぶり3度目のベスト16進出と、決勝トーナメント1回戦でベルギー代表と繰り広げた死闘が批判の声をかき消した。
 池田監督にも同じことが言える。来年の最終予選を勝ち抜き、パリ五輪でメダルを取る最善の道はこれしかないと選んだ上で批判を一身に受け止めている。もちろん、グループCを1位突破しなければ何の意味もなさない。ウズベキスタンに勝利した瞬間から、来月1日のベトナム女子代表との最終戦で勝利するための戦いをすでにスタートさせている。

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