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岡山学芸館の2年生”守護神”の平塚仁がビッグセーブ。チームを初の決勝へ導く(写真:松尾/アフロスポーツ)
岡山学芸館の2年生”守護神”の平塚仁がビッグセーブ。チームを初の決勝へ導く(写真:松尾/アフロスポーツ)

なぜ岡山学芸館は”最強FW”福田師王を擁する神村学園を破り初の決勝進出を決めたのか…”個の能力”に組織力で対抗

第101回全国高校サッカー選手権の準決勝2試合が7日に国立競技場で行われ、岡山学芸館(岡山)が3-3からPK戦(4-1)の末に神村学園(鹿児島)を撃破。ともに初優勝をかけて東山(京都)と対峙する9日の決勝(国立)に進んだ。1-1で迎えた後半に2度のリードを奪われ、直後に追いつく粘りを見せた岡山学芸館は迎えたPK戦で、大会後にドイツのボルシアMG入りする相手のエース、FW福田師王(しおう、3年)の一撃をGK平塚仁(2年)がセーブ。4人全員が決めて歓喜の雄叫びをあげた舞台裏に迫った。

 センターバックの井上斗嵩の徹底マーク

 

 決めれば5人目が蹴らずして夢の決勝進出を果たせる。逆ならば意気消沈している神村学園に流れが傾きかねない。運命が交錯するPK戦で大役が回ってきても、岡山学芸館のキャプテン、センターバックの井上斗嵩(つかさ、3年)は冷静沈着だった。
 細かいステップを踏んだ助走から右足を迷わず振り抜く。相手の守護神・広川豪琉(たける、3年)がコースに反応できていたとしても、おそらく届かなかった正確で強烈な一撃がゴール左角に突き刺さった瞬間、6ゴールを奪い合った死闘が終焉を迎えた。
 5度目の選手権出場で初めて、岡山県勢としては2006年度大会の作陽以来、16年ぶり2度目の決勝進出を決めた直後の取材エリア。
 笑顔で「PK戦ではみんなが前を向いて、明るい雰囲気でできた」と振り返った井上は、前後半を通してある仕事を託されていた。
 今大会後にブンデスリーガ1部のボルシアMG入りする神村学園のエース、福田と何度も自陣で繰り広げたマッチアップ。
 センターバックコンビを組む田口大慎(3年)とともに、井上は「とにかく競ることを意識した」と半ば強引に接近戦を挑み続けた。
「そうすればボールがちょっと離れるので、そこへボランチがプレスバックするとか、こちらの枚数を増やしてボールを取ろうと。ただ、自分が全力でジャンプしても胸でボールを押さえてきたし、いままで対戦したなかでも本当に強力なFWでした」
 福田を軸に神村学園は「個」で攻めてきた。ならば、自分たちは徹底して「組織」で対抗する。井上や田口が福田との1対1で踏ん張り、その間に味方のサポートを呼び込んで数的優位を作る。接近戦で体力を削られても、強烈なPKを決める力は残っていた。
 ただ、福田には一瞬の隙を突かれてゴールを陥れられた。1点リードで迎えた前半38分。MF金城蓮央(れお、1年)に強烈なシュートを放たれる。これはGK平塚が何とか防いだが、井上や田口よりも早くこぼれ球に反応した福田に押し込まれた。
 後半に入ると神村学園のもう一人のタレント、キャプテンのボランチ大迫塁(3年)の左足がうなりをあげる。まずは14分に約20mの距離から放った直接FK。壁に入った味方選手に当たり、コースが変わる不運もあって勝ち越しゴールになった。

 

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