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2大会ぶり4度目Vの青森山田。正木監督を囲んで歓喜の記念撮影(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
2大会ぶり4度目Vの青森山田。正木監督を囲んで歓喜の記念撮影(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

「継承と革新」Jリーグ転身の黒田氏からバトン受けた正木新監督がロングスロー批判をものともせず青森山田を頂点に導けた理由とは?

 こう語る指揮官へ、周囲から向けられる視線はちょっと違った。
「正木さんも焦っているのかなと、自分たちも感じた時期がありました」
 キャプテンのDF山本虎(3年)が指摘したのは、昨夏のインターハイで敗退した直後だった。しかし、結果を残せない状況へ焦燥感を募らせていたわけではなかった。
「インターハイでは私の経験不足が思い切り出てしまったので、申し訳ないという気持ちが本当に大きかった。短期決戦のトーナメントで、一度歯車が狂うとなかなか戻らない。欲張るといいことがないので、まず私自身が勝ち急がないこと。そして、チーム全員の矢印を同じ方向へ向ける作業を最も意識して取り組んできました」
 昨夏をこう振り返った正木監督は、黒田前監督の財産をあらためて確認した。例えば雪深い冬場にあえてボールを封印して、徹底的に取り組んできたフィジカルトレーニング。今年のチームにも、間違いなく他校と一線を画す強さは受け継がれていた。
 Jクラブのユースチームも参戦する国内最高峰の舞台、高円宮杯U-18プレミアリーグの存在が、選手たちを過酷なトレーニングに駆り立てていると正木監督は指摘する。
「プレミアリーグの全体的なレベルの高さは、Jクラブのユースが基準になる。ただ、彼らと対戦して負ける状況を求めて、選手たちは青森山田に来るわけではない。勝つためにまずはしっかりと戦える体を作って、そこへ技術や戦術を融合させてきた」
 青森山田は昨年の高円宮杯U-18プレミアリーグeastを制し、west王者サンフレッチェ広島ユースとのファイナルも2-1で制して3度目の日本一になった。
 後半終了間際の同点弾を導いたのは、黒田前監督時代からの伝統であるロングスローだった。
 相手キーパーがわずかにボールに触れて、ゴールインしたと判断されてオウンゴールになったシーンは、ロングスローに対する是非に加えて、青森山田の選手がキャッチしようとしたキーパーのプレーを妨害したとしてネット上で批判が殺到した。今年度のチームのロングスロワー役を担うDF小沼蒼珠(そうじゅ、2年)は言う。
「自分はまったく気にしていませんでした。注目されれば叩かれると自分は思っているし、チームとしても『また言っているよ』といった受け止めでした」
 前監督から引き継いだ伝統の上に、正木監督は自分の色も加えた。
「今年のチームの強みはカウンター、サイド、中央、背後、セットプレーと攻撃のすべてが全国トップクラスだという自信がありました。その上で相手チームの状況を見ながらサッカーをしようと、選手たちには常に言ってきました」
 黒田前監督は堅守速攻から奪ったゴールを、最小得点差でも守り切る堅実な試合運びを標榜した。対照的にフォワード出身の正木監督は堅守に多彩な攻撃を融合させ、さらに試合状況に応じて攻撃のパターンを使い分ける試合巧者ぶりを求めてきた。

 

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