「そんなバカなことがあるのか」角田裕毅がノリスとの“バトル”でペナルティを受け裁定に「不可解」と不服…フェルスタッペン逆転Vを援護できずラストランは不完全燃焼の14位

　F1の今季最終戦、アブダビGPの決勝が7日に現地のヤス・マリーナ・サーキットで行われ、今季限りでレッドブルのシートを失い、リザーブ兼テストドライバーに降格する角田裕毅（25）が14位で、ラストレースを終えた。10番グリッドからスタートした角田は、逆転でのドライバーズ選手権優勝を狙う。23周目でマクラーレンのランド・ノリス（26、英国）をブロック。しかし、ドライバーズ選手権を争うエースのマックス・フェルスタッペン（28、オランダ）を援護した走りに5秒のタイムペナルティを科され、無線で「そんなバカなことがあるのか」と怒りをにじませた。角田のレッドブルでのシーズンは最後まで不完全燃焼だった。

　ノリスはお咎めなく2度左右に進路を変えた角田にだけ5秒ペナルティ

　ラストランは不完全燃焼で終わってしまった。
　10番グリッドからスタートし、ステイアウトを続けた角田が3番手で迎えた23周目。フェルスタッペンとドライバーズ選手権を争うノリスが急接近してきた状況を受けて、角田は無線でこんな言葉を返した。
「I know what I do（何をすべきかわかっている）」
　角田が選んだのはノリスをディフェンスしながら走ること。トップを走っていたフェルスタッペンからできる限りライバルを遠ざけようと、角田はマシンを必死に左右に動かしながらノリスが追い抜くためのコースを塞ぐ援護を試みた。
　しかし、最後はスピードで上回るノリスに軍配が上がる。角田のインを突き、タイヤから激しい火花を散らしながら、コースアウトぎりぎりのラインで急襲してきたノリスにオーバーテイクされた数周後に両者が審議対象となった。
　果たして、スチュワード（審議委員）は危険な走行をしたとして角田に5秒のタイムペナルティを科す一方で、ノリスは角田の動きを回避するためだったとしてお咎めなしとなった。担当レースエンジニアのリチャード・ウッド氏から無線でペナルティを告げられた角田は「本当か」と返答。事実だと確認すると、こう吐き捨てている。
「そんなバカなことがあるのか」
　最終的にノリスは3位でフィニッシュ。優勝したフェルスタッペンとわずか2ポイント差で、自身初のドライバーズ選手権を獲得したノリスにも、レース後に角田との一件が問われた。もしノリスにもペナルティが科されていたら、ドライバーズ選手権も行方もわからなくなっていた。しかし、ノリスはまったく意に介していなかった。
「いや、そんなこと（審議対象）は知らなかったよ。でも、どうだろう。自分のドライブには何の問題はないと思っていたからね」
　英国のモータースポーツ専門メディア『RACEFANS.NET』は、スチュワードがノリスをお咎めなしとした理由を次のように伝えている。
「4号車（ノリス）が22号車（角田）をオーバーテイクしようと仕掛けた中で、22号車は何度も方向転換を行い、最終的に4号車は衝突を避けるためにコースアウトを余儀なくされた。22号車は実質的に4号車をコース外に押し出したと認められた。運転基準ガイドラインでは、車両が『強制的にコースから外された』場合には、トラックリミットを犯したとは見なされないと規定している」
　その後の角田はエンジンのオーバーヒートに見舞われてズルズルと順位を落とし、最終的には入賞及びポイント獲得圏外の14位でチェッカーフラッグを受けた。F1公式サイトがフラッシュインタビューに応じた角田が、今にも爆発させようとした怒りを努めて必死にのみ込もうとした第一声を伝えた。
「少なくとも4ポイント（8位入賞）は欲しかったけど、またしても不可解なペナルティが……まあ彼らにとってはいつものことなんだろうね。全力を尽くしたけど、先行車を追うのは本当に厳しかった。最初はペースがあったのに、その後はなぜかエンジンが異常なほどオーバーヒートしてしまって本当に苦しめられたので」