「7イニング制?そんなもの野球じゃない」智弁和歌山Vの決勝も8回にドラマ…94歳の広岡達朗氏が2028年センバツから導入の方向で進んでいる問題に大反対「実力を示せない子供が増える」
第108回全国高校野球選手権大会の決勝が22日、甲子園で行われ逆転に次ぐ逆転の熱戦の末に智弁和歌山が健大高崎を4-3で下して5年ぶり4度目の優勝を果たした。ドラマが生まれたのは8回の攻防。高野連が導入しようと進めている7イニング制が正式決定すれば劇的な展開にはならなかった。巨人OBでヤクルト、西武で監督を務めた球界大御所の広岡達朗氏(94)は「7イニング制?そんなもの野球じゃない」と反対を表明した。
「熱中症対策であればやり方は他にいくらでもある」
ドラマは8回に生まれた。
1点を追う健大高崎は6回から登板した智弁和歌山の和気匠太から得意のバスターエンドランを絡めて一死二塁の同点機を作った。ここで石田雄星がカーブを捉えてライトポール際に逆転の2ランを叩き込んだ。石田は、試合後に侍ジャパンU-18代表に選ばれている。
だが、2-3と逆転された智弁和歌山がその裏に逆襲した。
無死一塁から準決勝の横浜戦で織田翔希から3ランを放った楠本龍生が2球続けてバントに失敗すると、1997年にドラフト1位で阪神に入団、その後、楽天、巨人でも主に捕手としてプレーした中谷仁監督は、強行策に切り替えた。楠本は見送れば、ボールの変化球にバットを合わせてセンター前へ落とすと、「魂のバント」と中谷監督が評した送りバントを代打の主将、松本虎太郎が決める。
一死二、三塁で「何が何でも決める」と覚悟した川原一将が、低めの難しいカーブに必死に食らいついてスクイズを成功。さらに一死一、三塁と続くチャンスに山下晃平は三振に倒れるが、その外角へのスライダーが大岩翔斗のミットが届かない暴投となり、逆転の走者がホームイン。智弁和歌山は3番手の久葉亮太で9回を逃げ切り、マウンド上に歓喜の輪ができた。
だが、高野連が、形式上は、しっかりとした手順を踏みながらも、反対意見がある中で、半ば強引に進めている7イニング制が導入されていれば、この劇的な展開の決勝戦は生まれていなかった。
甲子園出場経験はないが、広島県立呉三津田高校から早大に進み、アマ経験をバックに巨人へ進み、球界を代表するショートストップとなり、引退後、指導者としても、ヤクルト、西武を日本一へ導き、野球殿堂入りしている広岡氏は、その7イニング制の導入に反対の声をあげた。
「7イニング制?そんなもの野球じゃない。子供達の意見は聞いたのか?まず選手が納得しないと思う。7イニング制になれば、それだけ出場機会が減り、実力を示せない選手が増える。選手の才能を摘むことになり、ますます野球をやる子供達が少なくなる。熱中症対策であればやり方は他にいくらでもある。暑い時間をずらしてナイターにしていることは成功しているじゃないか」
また広岡氏はこうも続けた。
「100年以上積み上げてきた歴史や記録はどうなるんだ? 7イニング制で完全試合がバンバン出て、それを昔の記録と並べられるのか。大谷の二刀流が、メジャーリーグで、ベーブ・ルースと比べられ歴史的評価を受けるのは、ルールがほぼ同じだからだ。ほぼと言ったのはメジャーもルールが変わっている。メジャーもやっているタイブレークには反対だ。昔のように延長18回までとことんやれとは言わないが、タイブレークは運に左右されすぎる。選手がおもしろくないだろう」
タイブレークは2018年のセンバツから導入され、当時は13回以降だったが、2023年から10回以降に変更されている。

