井上尚弥が「“凄い”とうなった」片岡雷斗が9回TKOで最速タイ3戦目での東洋タイトル奪取…大橋会長「記録に興味はないがただシンプルにできる」と日本最速4戦目での世界挑戦を約束
プロボクシングのOPBF東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦が29日、後楽園ホールで行われ、アマ6冠で同級2位の“ザ・サンダー”片岡雷斗(20、大橋)が同級1位でIBF世界同級7位にアルアル・アンダレス(26、フィリピン)を9回2分56秒TKOで下して、プロ3戦目の日本最速タイ記録で新王者となった。試合後、大橋秀行会長(61)はリングサイドから見守ったスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(33、大橋)が「“凄い”とうなっていた」と明かし、来年に日本最速となるプロ4戦目で世界を狙わせることを約束した。

“アンタッチャブル”川島郭志以来のディフェンスで湧かせるほどの技術
リングサイドでモンスターが「“凄い”とうなった」という。
大橋会長が明かしたもので、それは、まだ20歳の片岡が9ラウンド戦って右を1発しか被弾しなかった高度なディフェンス技術であり、距離感、ステップ、スピード、多彩なコンビネーションブローを生かした攻撃力だった。
7年前にWBA世界ミニマム級王座への挑戦経験がある24戦19勝(8KO)2敗3分けのフィリピンの強豪を相手に1ラウンドからジャブとスピードで支配した。ウェービングで映画「マトリックス」のワンシーンのように紙一重で、ひょいひょいとパンチを外すと1479人と発表された後楽園ホールのファンからどよめきが起きた。
「ここまでディンフェスで湧かせられるのは最近ないね。川島郭志以来。プラス、ステップも、これは今までにない技術スタイル」
大橋会長は、アンタッチャブルの異名で呼ばれた元WBC世界スーパーフライ級王者の川島郭志の名前を出して、その高度なディフェンス技術を称えた。
ワンツーから左アッパー、右ストレートから左ボディの4連続の高速コンビネーションなどを次から次へと浴びせ、左ボディ、右ボディとえぐり続けたが、タフなフィリピン人は、ガードをしっかりと固めて左右のパンチを振り回しながら前へ出てきた。リングサイドから井上尚弥が「ボディ!」とのヒントの声が飛ぶ。
だが、アンダレスのボディ防御も硬かった。
「途中下がってカウンターボクシングをやろうと考えた。でも(トレーナーの)お父さんからそれはやめた方がいいと言われたので手数を徹底した」
カウンターのアッパーを何発かお見舞いしたがビクともしなかった。
もうロープにつめての連打でのTKOしか決着方法は残っていなかった。
9ラウンドに片岡は猛ラッシュ。アンダレスの動きが止まったのを認めたレフェリーが試合をストップした。片岡は両手を誇らしげに上げた。
ここまでのジャッジはフルマーク。
「すごいタフでした。もっとまとめて仕掛ける場面を作って綺麗にKOしたいなと思ったがアンダレスの強い気持ちでそうさせてくれなかった」
片岡はタフな世界ランカーに敬意を示した。
そして初めてのベルトを膝の上に置き、「重いですね。アルアルに勝てたのでこれくらい重いんですかね。嬉しいです」と笑った。
試合前の最後の練習で井上尚弥からこんなアドバイスをもらった。
「ジャブでいい。隙があれば自然と倒せるから」
まさにその言葉通りに進めてTKOフィニッシュにつなげた。
オープニングカードでは、プロ2戦目の弟の叶夢が、1ラウンド1分28秒、左ボディを効かせての衝撃的なKO勝利。片岡は「いいバントをもらった。今度はオレの番」と刺激をもらい目を輝かせていた。

