計量失格で「1年間無収入だった」“ミラモン”松本圭佑がSフェザー級T準々決勝を衝撃TKO劇で1年7か月ぶりの復活星…「負けたら引退」の覚悟と「今日1歳誕生日の愛娘のために」
プロボクシングのスーパーフェザー級トーナメントの準々決勝の3試合が12日、後楽園ホールで行われ、元WBOアジアパシフィック&日本フェザー級王者の松本圭佑(26、大橋)が元WBCアジアスーパーフェザー級王者の龍王(28、角海老宝石)を3回35秒に右ストレートで沈めてTKO勝利した。昨年3月の計量失格で1年のライセンス停止処分を受けていた松本は、1年7か月ぶりの復帰戦を白星で飾ったが、「負けたら引退」の覚悟を持ってリングに上がっていた。松本を奮い立たせたのは、収入ゼロの1年を支えてくれた妻と13日に1歳の誕生日を迎えた愛娘の糸詩(しらべ)ちゃんの存在だった。

他ジムでのトレーニングと米国への単身武者修行
ミライ☆モンスターが輝きを取り戻した。
3ラウンドだ。右のストレートを2発ヒットさせ、龍王の頭を揺らすと、強烈なワンツーがドンピシャで顔面を打ち抜いた。腰から崩れた龍王のカウントをレフェリーが途中で止めると、右手を振り回して松本は喜びを表現した。15人がエントリーしたトーナメントでただ一人シード扱いとなり準々決勝から出場となった期待に満点の内容で応えた。
リング上のインタビューでは、昨年3月にメインに抜擢されながら、前夜の水抜きがうまくいかず、救急車で搬送されて計量失格となり、穴をあける失態を犯したことをファン、関係者に謝罪した。
そして「ここで負けたら引退の文字が出てくる…かけた試合だった」と悲壮な決意で上がったリングだったことを明かした。
「ランキングにも入っていない。松本のための(スーパーフェザー級)トーナメントと言われて、こで負けているようでは世界は無理」
昨夜は眠れたが、自宅を出るまでは「嫌な気持ち、早く終わりたい気持ちが入り混じっていつもより緊張していた」という。
だが、会場に入り入場テーマ曲「あしたのジョー~美しき狼たち~」が流れると、緊張は解け「早く戦いたい、なんなら(次の)準決勝も早くやりたい」と感じて「力が抜けているな」の実感を得た。
サウスポーの龍王に対して1ラウンドからよく手が出た。しかも単発に終わらず、右、左、右、左の4連打や、フックから左アッパーを交えてのコンビネーションブローなど多彩なパンチで主導権を握った。
2ラウンドには距離を詰めて勝負をかけた。
数年前に龍王とスパーリングをしたことがあり「やられた」という。
フルフェイスのヘッドギアがずれて視界が狭まったことが理由のひとつだったが、その時の経験から「体を触らせると勢いづいた。待ちのカウンターを狙うスタイルだと、調子づく。だから詰めてこっちのパンチを先に当ててやる」と作戦を切り替えた。
松本のパンチが面白いように当たり始め龍王は右目上をカットした。
「カットの出血で右目に血が入って、ジャブの軌道がわからくなって必然的にストレートへの反応が悪くなった。ストレートのタイミングは相手が良かった。もっと追いかけてつかまえようと思ったが、突き放すようなパンチでいけなかった。向こうの作戦だったのかもしれない」
敗者の龍王はフィニッシュブローの右が見えていなかったことを明かした。
ライセンス停止処分を受けた松本は、一時期、世界挑戦経験のある元OPBF東洋太平洋フェザー級&日本同級王者だった父でトレーナーの好二さんとのコンビを解消した。大橋秀行会長の薦めもあり、元々フィジカルのトレーニング指導を受けていた志成ジムの野木丈司トレーナーの元へ通った。そして米国への1か月の修行。日本になじみのあるジムではなく、単身渡米することを条件とされた。帰国すると再び好二トレーナーとのコンビを復活させた。そして最後のスパーリングで事件が起きた。動きがよくなかっため、好二トレーナーが「シャキっとしろ!」と叱りつけたが「わかっているよ」と反抗したのだ。

