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伝説となった5.2東京ドーム決戦の舞台裏にあった真実(写真・山口裕朗)
伝説となった5.2東京ドーム決戦の舞台裏にあった真実(写真・山口裕朗)

廊下で怒号!今明かされる井上尚弥対中谷潤人の裏舞台にあった“もう一つの戦い”バンテージ問題…異例のグローブ着用前の再チェック…「ちゃんと見て来て下さいね」モンスターからの伝言

 プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(33、大橋)が中谷潤人(28、M.T)を判定で破った5.2東京ドーム「THE DAY」に壮絶な裏舞台があった。前日のルールミーティングで井上陣営が訴えたバンテージ問題。当日に中谷のバンテージの巻き直しが行われ、グローブ着用前の異例のバンテージの再チェックまでが特別に行われたことが明らかになった。

 

井上尚弥を支えた真吾トレーナーとバンテージ担当の佐久間トレーナー(写真・山口裕朗)

 

 伝説として語り継がれることになった井上と中谷の緊迫の36分の戦いはゴング前からピリピリした空気が張り詰めていた。
 前日のルールミーティングで、大橋陣営が中谷のバンテージの巻き方にルール違反の疑念があることを指摘して異議を申し立てた。
 バンテージは拳のナックルパート部分を保護するためそこへの積層材(緩衝材)の装着が認められている。柔らかい布製(ガーゼ)のものを折りたたんで作成する方法と予め用意した積層材を使用することが可能だが、井上陣営は、中谷陣営がその積層材を「ガーゼを折りたたまずに巻いて作っているのではないか」と疑念を抱きクレームをつけたのだ。
JBCルールでは、積層材をガーゼをロール状に巻いて作ることや、ねじりを入れること、あるいは水などで濡らすことを禁止している。
 この時、中谷のバンテージも担当している“参謀”のルディ・エルナンデストレーナーは「これまでOKだったものが、どうして急に問題になるのか?」と激怒した。
 JBCの安河内剛本部事務局長によると「当日のバンテージチェックの際に現場で両陣営とローカルコミッション(JBC)が見て、何かあればその都度問題にしようということになった」という。
 そしてその当日の控室で“バトル”の第二章が幕を開けた。
 中谷の控室に足を運んでのチェック係に任命されたのは井上のバンテージを担当している職人の佐久間史朗トレーナー。エルナンデストレーナーは、中谷の右のバンテージから巻き始めた。
「バンテージを巻くのか物凄く早すぎてわからないんです」
 それでも佐久間トレーナーは見逃さなかった。ナックル部分に緩衝材を装着する際、ねじりを入れていたのを確認できたのだ。繰り返すが、JBCルールでは「ねじりを加える」ことを禁止している。ねじりを加えると拳が硬くなるからだ。
 佐久間トレーナーがそれを指摘するとエルナンデストレーナーは激怒したという。のちに佐久間トレーナーは廊下で「これで30年やってきたんだ!」と怒号を浴びせかけられた。
 エルナンデストレーナーからすれば、意図的ではなく中谷の拳を守るためのルーティンワークで、これまで指摘されたことがなかったため問題意識もなかったのだろう。ましてバンテージのルールはローカルコミッションに沿うもので、米国と日本では微妙に基準が違う。井上も肌に直接テープを貼る行為を米国では許可されず、年末のサウジアラビアでのアラン・ピカソ(メキシコ)戦では、ルールミーティングでOKとなっていたはずが、当日に突然クレームをつけられ巻き直しを命じられている。

 

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