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勝負を決めたのは4番吉田正の一振りだった(資料写真)
勝負を決めたのは4番吉田正の一振りだった(資料写真)

オリックスは鳥襲来で試合中断の珍事をどう乗り越えたのか…首位ソフトBとのゲーム差「0」譲らず4連勝

 6番・DHで先発していた35歳のベテラン、角中勝也はバットを振り回したりはしない。それでも身長180cm体重85kgの巨体が迫ってくれば、それだけで鳥の群れには脅威に映る。角中だけに任せては失礼だとばかりに、三塁側のオリックスベンチからはドラフト2位ルーキー、23歳の野口智哉も勢いよく飛び出していった。

 もっとも、野口が駆けつけたときには、角中はすでに“大仕事”を終えていた。再び照明がつけられ、すべての鳥が場外へ飛び立ったとわかったグラウンドに拍手が降り注ぐなかで、谷保さんによるイレギュラーなアナウンスも最後を迎えた。

「大変長らくお待たせいたしました。試合再開の準備を行います」

 午後7時42分から21分間にわたって中断した間に、それまでロッテのマウンドに立っていた3番手・小野郁は、ベンチでストレッチなどをして再開を待った。

 もしかすると、投げ込んでいなかった影響が出たのか。5回にロッテの先発左腕・佐藤奨真から今シーズン1号となる勝ち越しの本塁打を放っていた太田は、フルカウントからの6球目、外角低目に落ちるスライダーをしぶとくレフト前へ運んだ。

 この時点でオリックスのリードは2点に広がった。想定外の中断にも緊張感を持続させ、流れを途切れさせなかったと思われた直後の7回。状況は風雲急を告げた。

 無死一塁で先発・山﨑福也からバトンを託されたルーキー右腕、小木田敦也が5番・井上晴哉に同点の6号2ランを浴びたのだ。フルカウントからの6球目。真ん中やや外よりに入ってきた133kmのスプリットにタイミングを狂わされながら、持ち前のパワーでレフト最前列へ運んだ井上は中断を歓迎するコメントを残している。

「不思議な間になって、ある意味、空気を変えてくれたんじゃないですかね」

 札幌ドームでは首位ソフトバンクが、最下位が確定した日本ハムをリードしていた。プレーボール前の時点でゲーム差なしの2位に食らいついていたオリックスだが、残り試合はソフトバンクよりも4つも少ない。直接対決もすでに終わった状況で、負けは言うまでもなく、引き分けでも熾烈な優勝争いから後退しかねない。

 漂いかけた嫌なムードを振り払ったのは、主砲・吉田のひと振りだった。  先頭で左打席に入った8回。ロッテの5番手・西野勇士が1-1から投じた、真ん中に入ってくるスライダーをフルスイング。打った瞬間にスタンドインを確信し、ゆっくりと歩き始めた吉田は試合後のヒーローインタビューで「完璧でした」と自画自賛した。

「緊張感はありますけど、それでもいまは選手一丸となっていいプレーができています」

 

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