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勝負を決めたのは4番吉田正の一振りだった(資料写真)
勝負を決めたのは4番吉田正の一振りだった(資料写真)

オリックスは鳥襲来で試合中断の珍事をどう乗り越えたのか…首位ソフトBとのゲーム差「0」譲らず4連勝

 

 鳥の襲来で試合が中断する珍事を乗り越えたオリックスが4連勝をマークし、首位ソフトバンクとのゲーム差「0」を死守した。20日にZOZOマリンスタジアムで行われた千葉ロッテ戦は、オリックスの攻撃中だった6回一死一、三塁で鳥の大群が場内を飛び回ったために21分間にわたって中断。再開後に同点とされたが、8回に吉田正尚(29)が勝ち越しの20号ソロを右中間スタンドへ叩き込み、9回にも2点を追加して6-3で勝利した。首位ソフトバンクも日ハムに快勝。パの優勝を争う両チームのマッチレースの行方は最後までわからなくなってきた。

照明を落とし大音量での威嚇…最後は角中が追い払う

 千葉ロッテ一筋で30年以上のキャリアを誇る名スタジアムアナウンサーの谷保恵美さんにとっても初めて経験する場内アナウンスだった。

 2-1とリードしていたオリックスが一死一、三塁のチャンスを迎えた6回。右打席に7番・太田椋が入るもすぐに秋村謙宏球審によって試合が中断された。

 原因はプレーボール前から降りしきっていた霧雨ではなかった。ちょっと時間を置いてから、場内に起こった珍事を知らせる谷保さんの声が響いた。 「お客さまにお知らせいたします。ただいま場内に鳥の群れがおりまして、試合進行の妨げとなっております。いましばらくお待ち下さいませ」

 緑豊かな木々に囲まれた幕張海浜公園内にあり、外野スタンドの後方には太平洋を望むZOZOマリンスタジアムに鳥の大群が襲来。外野から内野、また外野と自由気ままに、時には選手の頭とほぼ同じ高さを自由気ままに飛び回り続けた。

 さらに別の大群も迷い込んだなかで、打球が衝突しかねないと判断されたために試合は中断。グラウンド上にいた両チームの選手やベースコーチがベンチへ引きあげ、無人となったグラウンド上に再び谷保さんのアナウンスが響いた。

「この後、場内の鳥を場外へ出すため、照明を一度暗くさせていただきます」

 鳥の襲来による試合中断は、2017年8月30日にkoboパーク宮城(現楽天生命パーク)で行われた楽天-西武で33分間中断して以来、5年ぶり5度目の珍事となる。このときは係員が笛を鳴らしながら追いかけても、バックスクリーンから花火を打ち上げて驚かせても効果がなく、最後は照明を落とすと上空へ飛び立っていった。

 5年前の教訓にならう形でスタジアム内の照明が落とされ、電光掲示板も一時的にダウンさせた。それでもファンが内外野のスタンドのところどころでスマートフォンのライトを点灯させていたため、谷保さんは、「お客さまにお願い申し上げます。スマホのライトを一度、消していただけますでしょうか。場内大変暗くなりますが、申し訳ございません」と呼びかけた。

 ファンも協力し、スタジアムは漆黒の闇に支配された。

 さらに鳥の大群を退去させる次の対策が講じられた。

「これよりBGMにより、鳥の鳴き声、大きな音を出させていただきます」    

 谷保さんのアナウンスに期せずして拍手がわきあがる。

 大音量の鳥の鳴き声が何度か流されたが、照明が少しだけ明るくされた場内にはまた飛び交う鳥の群れが確認された。次なる手段として、バズーカ砲のようなごう音も鳴り響かせた。

 しかし、鳥の群れが飛来する事態に備えて、スタジアム側が用意していた“秘密兵器”も残念ながら効果がない。数そのものは減ったものの、飛ぶのをやめた十羽近い鳥が、なんとセカンドベース後方の人工芝に降り立ち、毛づくろいをしながらすっかりくつろいでいたのである  谷保さんのアナウンスが「現在、グラウンド上に鳥の群れがいる状態でございます」に変わったなかで、一塁側の千葉ロッテベンチから右手にバットを持った選手が小走りしながら、鳥が小休止している場所へ近づいていった。

 

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