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2022年のドラフト1位
2022年のドラフト1位

ノムさん“側近”元ヤクルト編成部長がドラフト成否を独自採点…「全球団が平均点以上だが日ハム、広島、オリがトップ3。“最下位”はソフト。集中型の特色出した中日、楽天、阪神も評価」

 プロ野球のドラフト会議が20日、都内のホテルでリモート開催された。9球団が事前に1位指名を公表する異例ドラフトだったが、通算68本塁打の高松商高の浅野翔吾外野手に巨人と阪神、立教大の157キロの荘司康誠投手に楽天、ロッテが競合、公表していた巨人、楽天が指名権を得た。支配下で昨年より8人少ない69人、育成で57人が指名され、2022年のドラフトが幕を閉じた。ドラフトの成否は、5年後、10年後に答えが出るものだが、ヤクルトで編成部長を務め、阪神でも関東担当社会人スカウト、ヤクルト、阪神、楽天ではコーチとして故・野村克也氏を支え”側近”と呼ばれた松井優典氏(現・NPO法人ファイアーレッズメディカルスポーツクラブ・アドバイザー)に独自採点をしてもらった。

 広島は即戦力投手の益田、河野をW確保

 9球団が事前公表の“ドラマ無きドラフト”も蓋をあけると浅野、荘司の2選手が競合。高松商高の浅野を“ライバル”の巨人・原監督と阪神・岡田新監督の2人が争った場面が唯一のハイライト。クジを引き当てた原監督は、珍しく顔を紅潮させて興奮していた。
 ヤクルトの編成部長として2014、2015年のドラフトを指揮したノムさんの”元側近”松井氏は、今回のドラフトをこう総評した。
「大失敗した60点のチームがない平均点のドラフト。どのチームも意図と事前の選手の順位付けがしっかりとできていたのだと思う。甲乙の採点をつけるのが難しい、各球団が狙いは達成した。どこも、即戦力、将来性に期待した逸材を1人ずつは抑えバランスもよかった。今回は、あえて採点に差をつけたと思ってもらいたい」
 トップグループに評価したのが日ハム、広島、オリックスの3球団だ。日ハムは90点、広島は87点、オリックスは85点の評価。
「一番の成功は日ハム。1位で“二刀流”で話題性抜群の矢澤宏太(日体大)、2位で独特の小さいテイクバックから力のあるボールを投げ、制球力もある即戦力投手の金村尚真(富士大)を抑え、3位でメジャー経験があり新人とはいえない加藤豪将内野手(メッツ傘下3A)も抑えた。最下位に終わったチームに足りない部分をバランスよく即戦力で抑え、将来性を見込み魅惑の150キロの大型サイドハンドの安西叶翔(常葉大菊川高)も取れた。新庄監督も満足だったのではないだろうか」
 新庄監督は、外野で起用した左腕の矢澤をワンポイントで使い、また外野に戻すなどのノムさんばりの起用法を明かしたが、来季に向けてファンをワクワクさせるドラフトにもなった。
 続いて広島を評価したのは1位で大型右腕の斉藤優汰(苫小牧中央高)、2位で高校通算35本塁打&最速149キロの身体能力を持つ右の大型スラッガーの内田湘大一塁手(利根商高)で“将来枠”を確保した上で、3位で“ヤクルト村上を三振に斬った男”益田武尚(東京ガス)、5位で河野佳(大阪ガス)、6位で長身左腕の長谷部銀次(トヨタ自動車)の即戦力3投手を指名できたことだ。ちなみに長谷部は、江戸時代に「解体新書」を訳した蘭学医の杉田玄白の子孫。
「広島は森下、大瀬良、九里に続く4人目の先発、中継ぎの補強が最大のポイントだった。上位で素材型の投打の高校生を抑えた上で、益田、河野、長谷部の社会人3人が取れたことが大きい。益田はヤクルトが1位指名した吉村貢司郎投手(東芝)よりもトータルの完成度は下だが、最速153キロで先発で使えるし、河野は今季結果が出ずに評価を落としたが、ほとんどフォームがぶれずシュートがいい。左打者の外の出し入れもできる」
 松井氏はトップ3にオリックスを入れた。1位指名した即戦力左腕の曽谷龍平投手(白鴎大)を巨人の浅野の2人を今回の総合ランキングでトップ評価していたためだ。また高校生3人はいずれも評判の好素材。
「優勝したオリックスは余裕のあるドラフトに見えた。どの球団も欲しい即戦力左腕では曽谷がナンバーワン。力感がないフォームからコンスタントに150キロを投げることができる。またパ向きと考えていた巨漢100キロの“大砲”内藤鵬(日本航空石川高)を2位、広島の1位の斎藤に次ぐレベルにあって、天性のバネのある齋藤響介(盛岡中央高)、大型右腕の日高暖己(富島高)と将来を見据えた高校生を3人確保できたことにも楽しみがある。今季は、宇田川、山崎と150キロ級の若手が出てきているチームだけに、こういう素材をうまく育成しそうにも思える」

 

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