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大谷だけではない。過去にもあった巨額な詐欺被害(写真・AP/アフロ)
大谷だけではない。過去にもあった巨額な詐欺被害(写真・AP/アフロ)

水原一平容疑者が出廷前に警察へ“自首”…司法取引が成立しなければ大谷翔平が重要証人として裁判で証言台に立つ可能性も

 米連邦当局に銀行詐欺罪で訴追されたドジャース大谷翔平(29)の元専属通訳だった水原一平容疑者(39)が12日(日本時間13日)午前中に法執行機関に出頭して司法当局に身柄を拘束されていることが明らかになった。ESPNが報道したもので、同容疑者は同日ロサンゼルスの連邦裁判所に出廷、2万5000ドル(約380万円)の保釈金を支払い保釈された。司法取引が進行中とされるが、もし成立せず公判に持ち込まれた場合、大谷が裁判で証言台に立つ可能性もあるという。

 最大禁固30年の重罪

 

 連邦当局による衝撃的な訴追発表から一夜明けた日本時間13日。容疑者となった水原氏はロサンゼルスの法執行機関に“自首”した。ESPNのアダン・ゴンサレス記者がXに投稿したもので、司法当局によって身柄を拘束された。水原容疑者は同日、ロサンゼルス連邦裁判所に出廷した。米スポーツサイト「ジ・アスレチック」のサム・ブルーム記者は「水原一平被告は足首に手錠をはめられて法廷に現れたが、後に手錠は外された。彼は数々の条件付きで2万5千ドル(約380万円)の保釈金を支払って釈放された。許可なくカリフォルニア州の中央地区を離れることはできない。大谷と連絡を取ることもできない。ギャンブル依存症プログラムなどに参加しなければならない」と速報で伝えた。
 水原容疑者は、大谷の銀行口座から1600万ドル(約24億5000万円)以上を盗み、違法なスポーツ賭博への「飽くなき欲求」のための資金調達に充てた銀行詐欺の罪で訴追された。
 訴状によると水原容疑者は、2021年から今年の1月にかけて違法なブックメーカーを通じて1日に数十回、最終的に1万9000回以上の賭けを行っていた。1回あたりの平均で1万2000ドル(約184万円)以上を賭け、1億4000万ドル以上(約214億円)は勝ったが、1億8000万ドル(約276億円)以上は負けて違法なブックメーカーを運営しているマシュー・ボウヤー氏に差し引き4060万ドル(約62億円)の借金を作った。そのうち1600万ドル(約24億5000万円)以上を大谷の口座から盗んだ。
 最初の送金は2021年11月の4万10ドル(約613万円)。1500万ドル以上(約23億円)になる送金の大部分は、2022年と2023年に行われた。大谷の銀行口座の連絡先は水原氏の電話番号と水原氏に関連する匿名のメールアドレスに紐づくように変更され、当初、大谷の自動車のローンの支払いと偽って、送金しようと試みたが、口座がロックされるなどして送金はうまくいかなかった。水原氏は銀行に電話をかけ、大谷と偽って大谷しか知らない個人情報を伝えることで銀行員を騙してロックを解除させ、違法賭博関係者への送金に成功した。
 今回立件されたのは、それらの不正行為に対する銀行詐欺罪で、最大で禁錮30年、もしくは罰金100万ドル(約1億5300万円)、あるいは両方が科せられる重罪。
 ニューヨークタイムズ紙によると、水原容疑者の代理人を務めるロサンゼルスの元連邦検察官の弁護士マイケル・フリードマン氏は、罪を認め、違法ブックメーカーに関する情報提供など今後の捜査に協力することなどを条件にした司法取引を検察側と交渉しており、もし司法取引が成立した場合には、「6年から10年の実刑に軽減される可能性がある」という。
 そのため、この日は、罪状認否には応じず、保釈諮問が行われ、2万5000ドル(約380万円)の保釈金を支払い保釈された。
 ただ司法取引が成立せず、正式に起訴されて公判に持ち込まれることになった場合には、大谷が証言台に立つ可能性が出てくる。
 ロサンゼルス・タイムズ紙は、「水原容疑者は最大で懲役30年の罪に直面している。捜査に協力する司法取引によって大幅に軽減されるかもしれないが、もしこの訴追が裁判へと進めば、大谷は重要な証人となるだろう」と報じた。
 今回の問題に関して、大谷が、今回の連邦当局の事情聴取にジャイアンツとの試合があった4月2、3日に応じているが、もしシーズン中に法廷で証言台に立つようなことになれば、大きな負担になるだろう。連邦当局は、大谷が銀行口座からの送金などを一切許可しておらず、違法賭博にもまったく関与していない被害者であることを認めている。

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