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千葉ロッテの佐々木朗希がボール判定に思わず苦笑いしたことが発端となり白井球審がマウンドにまで詰め寄る騒動に発展した(資料写真・黒田史夫)
千葉ロッテの佐々木朗希がボール判定に思わず苦笑いしたことが発端となり白井球審がマウンドにまで詰め寄る騒動に発展した(資料写真・黒田史夫)

佐々木朗希の判定不服「苦笑い」と白井球審の“激高”詰め寄り事件の賛否…一体誰の何が問題だったのか?

 ネット上では完全試合達成から“時の人”となった佐々木を擁護する声であふれ、前出の伊藤は、自身のツイッター(@hiromi151)で「あ、独り言です」と断りを入れながら、こんな投稿をした。

「たしかに、相手のある事で相手を不快にさせたり、必要以上のリアクションは控えるべきだと重々承知ですが…我々は無感情のピッチングマシーンではない。命懸けの一球一球に感情が入るのも当たり前で、それが自然と出てしまうことも多々あります」

   だが、一方で白井球審の行動に理解を示す声もある。

 タイトル獲得経験もある某球界OBは、こんな見解を示す。

「佐々木はストライク、ボールに抗議をしてはならないことがわかっているので、思わず苦笑いを浮かべただけなのだろう。だが、白井球審からすれば、その笑いが自分の技術をバカにされていると感じて頭に血が上ったんだと思う。まだ佐々木が怒って文句を言った方がわかりやすかったかもしれない」      

 佐々木の2試合連続17イニング完全投球を「世界でナンバーワンの抑え投手が9イニングを投げているようなもの」と評したパドレスのダルビッシュ有(35)も自身のツイッター(@faridyu)を更新。物議を醸した白井球審の行動に理解を示すつぶやきを投稿している。

「野球の審判って無茶苦茶難しいのに叩かれることはあっても褒められることはほとんどないよなぁ。選手も散々態度出すんだから審判にも態度出させてあげてください」

 さらに安達に対する佐々木の一投はストライクであり、判定自体が誤審だったと批判されている状況にも、相互理解が必要だとあえて一石を投じている。

「誤審といいますがテレビで見てる分には判定は簡単です。ですがあの場にいてリアルタイムであれだけ誤審が少ないのは本当にすごいです。元プロ野球選手が審判とかすると誤審連発なので、自分からするとプロ野球の審判は全員化け物です」

 ストライク、ボールの判定については、メジャーリーグでも、チャレンジ(日本のリクエスト)は認められず、一度下された判定が覆ることはほぼない。

 判定への不服を表に出すことは何のメリットももたらさない。メジャーリーグと違い、日本では不服を示した投手にあからさまに不利な判定をするなどの審判からの“個人的な報復”は皆無と言っていいが、要注意人物とみなされ、より厳密に注意深くストライク、ボールを見極めようとされる可能性は否定できない。

 審判も生身の人間であり、その日によって、多少ストライクゾーンが変わってくるのも事実である。審判がそれぞれ持つ性格を把握し、自分が損をしないように上手く接していく作業もまた、プロの世界では必要不可欠となる。

 阪神で長くチーフスコアラーを務め、北京五輪に出場した日本代表チームでもスコアラーを務めた三宅博氏から、審判ごとの傾向や性格をデータにまとめてファイルにして、毎年、首脳陣と選手に配っていたという裏話を聞いたことがある。

 その際、三宅氏は「審判を味方につけなければ損。人間なので間違いはあり、審判も、“ああやってしまったなあ”と思うもの。そこで真摯な態度で接していれば、どこかで借りは返してくれる。絶対に文句を言ってはダメ」という指示をバッテリーに送っていた。

  佐々木自身も、名実共に球界を代表する投手になるために“教訓”を得たと思えばいい。

 17イニング続いていたパーフェクト・ピッチングを福田に投じた第1球でストップさせられた佐々木は、5四死球を与えるなど制球が定まらなかった。5回には無死満塁からの紅林の投ゴロをホームゲッツーではなく1-6-3の併殺を選ぶなどの判断ミスもあったが、悪いなりにもリードは許さず、5回を6安打4奪三振2失点にまとめて勝利投手となった。

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