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横浜DeNAの伊勢大夢が7回一死三塁のピンチに救援登板。わずか3球で近本、大山を凡退させた
横浜DeNAの伊勢大夢が7回一死三塁のピンチに救援登板。わずか3球で近本、大山を凡退させた

横浜DeNAが“三浦マジック”炸裂で阪神に“逆王手”…絶体絶命ピンチに伊勢が近本との心理戦を1球で制した理由とは?

 三浦マジックは、これで終わりではなかった。
 3万3037人を数え、2日連続で史上最多動員記録を更新した超満員のハマスタをざわつかせたのが、7回裏の采配だった。
 阪神がCS用に中継ぎに配置した西純から先頭の牧がライトフェンス直撃のシングルヒットで出塁すると、続く5番の宮崎が、初球のボールを見逃した後の2球目に、なんとバントの構えをしたのだ。サインを出した三浦監督は表情を変えない。
 そして4球目。一塁線にバックスピンをかけて止まる見事なバントを決めた。もちろんプロ10年目にして初の犠打。結局、得点にはつながらなかったが、宮崎の“バント効果“があったことを三浦監督が明かした。
「上手かった。ナイスバント。点にはならなかったが、きっちりと決めてくれてベンチもぐっと一つになった」
 実は、CS前に三浦監督はたとえクリーンナップにも“聖域”はなくバントのサインがあることを伝えていた。全員がひとつの方向を向く“勝利の軍団“になりつつある。
 そして「球数も少なかった」と三浦監督は、伊勢をそのまま回跨ぎで8回も続投させた。伊勢は、原口、佐藤、高寺の3人を圧巻の三者連続三振。阪神打線を“シュン”とさせ、最高の形でクローザーの山崎にバトンタッチした。
 シーズンの疲労の蓄積はあるだろう。だが、伊勢は胸を張る。
「朝起きたらめちゃくちゃきついが、マウンドに上がれば力が出てくる。ボールに魂を込めて投げられている感じがする。楽しんではいない。投げさせてくれる喜び、やりがいを感じている」
 肩に張りが出ると、下半身を意識するようにもしているというが、これがフル回転でもへばらない伊勢の原動力である。
 先発の大貫の好投も見逃せない。2回から6回までの5イニングは打者15人にパーフェクト。しかも10奪三振はキャリアハイである。
 大貫は「(伊藤)光さんのリードのおかげ」と、イニングの合間に横にきてコミュニケーションを取り、次の回の配球のイメージを固めてくれた伊藤のインサイドワークに感謝の意を伝えた。
「ひとつのストライク、ひとつアウトを取ることに集中しようとブルペンで(伊藤)光さんとも話していた。長いイニング投げることは頭になかった。それがよかったと思う。スピリットもそうだが、ストレートも要所で使いながら狙い球を絞らせなかった。(阪神打線が)狙っているコースに投げなかったのが大きなポイントだったと思う」
 2018年のドラフト3位。桐陽高時代に甲子園出場経験もなく、日体大、新日鉄住金鹿島を通じても「負けたら終わり(という試合)にあまり立ち合えてなかった。大舞台に強いかどうかはわからない」と笑う“優男”が、崖っぷちの大一番で今季一番のピッチングをした。

 

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