中央大は6位に入り10年ぶりのシード権を獲得。アンカーの井上大輝(右)は駒大の青柿響と一時デッドヒートを演じた(写真・アフロ)
中央大は6位に入り10年ぶりのシード権を獲得。アンカーの井上大輝(右)は駒大の青柿響と一時デッドヒートを演じた(写真・アフロ)

青学大圧勝Vの裏で広がる箱根駅伝の“格差“…人気校はさらに強く予選会校は留学生頼み

2022年の箱根駅伝は青学大が10時間43分42秒の大会新記録で突っ走り、後続を10分51秒も引き離す歴史的な快勝で幕を閉じた。とにかく青学大は強かった。

 一方、予選会校では、名門・中大が6位でフィニッシュ。全日本大学駅伝に続いて、10年ぶりのシード権を獲得した。東海大のアンカーが低血糖症でフラフラになったこともあり、法大が残り1kmで逆転。10位を確保して3年ぶりのシード権を手にした。今年は2校が“入れ替わった”ことになる。  近年は上位校と予選会校で明確な“格差”があると感じている。強い大学はさらに強くなり、予選会校は同じグループのなかで僅差の戦いを繰り返しているイメージだ。前回大会、予選会を突破した10校のなかでシード権を奪ったのは、予選会を過去最高水準記録でダントツのトップ通過を果たした順大だけだった。

予選突破校に立ち塞がるシード権獲得の壁

 予選会を突破してもシード権獲得の壁は厚い。今回、予選会から本戦に出場した大学のA監督はこんなぼやきをしていた。

「箱根駅伝はインスタントでは通用しない時代になっています。1年間かけて箱根に向けて準備している大学が増えているんです。そのなかで予選会校とシード校の格差は大いに感じていますね。予選会校は山区間(5、6区)の準備が遅れるというハンディがあります。これは一番大きな違いだと思います。さらに予選会のレベルが非常に高くなっていますので、10月後半に一度チームを仕上げないといけません。シード校と予選会校では流れがまったく違うんです」

 12年連続出場中の神奈川大は2017年大会で5位に入るも、残り11年はシード権を獲得していない。山梨学大も2016年が最後のシード権獲得だ。今回15位に入った国士大は6年連続出場を果たしているが、本戦では18~20位が定位置だった。

 格差の要因は他にもある。

「入学してくる選手のレベルが違う。それが一番大きいんじゃないでしょうか」とA監督は言う。  専門誌の『月刊陸上競技』は例年、関東有力大学の長距離新入生リストを作成。チーム上位5人の5000m平均タイムを算出している。これを見るとうなずけるかもしれない。

 今大会に出場した大学の今季新入生ランキング(上位5人の5000m平均タイム)は以下の通りだ。 【1】青学大(13分55秒16)【2】東海大(13分59秒15)【3】明大(14分00秒23)【4】東京国際大(14分01秒99)【5】國學院大(14分05秒95)【6】東洋大(14分06秒78)【7】中大(14分09秒48)【8】駒大(14分09秒74)【9】神奈川大(14分12秒73)【10】日体大(14分12秒83)【11】中央学大(14分13秒15)【12】順大(14分16秒74)【13】専大(14分20秒32)【14】法大(14分22秒47)【15】帝京大(14分23秒22)【16】山梨学大(14分26秒30)【17】国士大(14分27秒13)【18】創価大(14分29秒85)【19】駿河台大(14分41秒79)※早大は5人に満たしていないので除外。

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