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J2熊本戦で“現役ラストマッチ”を終えた横浜FC中村俊輔がサポーターの声援に応える(写真・スポニチ/アフロ)
J2熊本戦で“現役ラストマッチ”を終えた横浜FC中村俊輔がサポーターの声援に応える(写真・スポニチ/アフロ)

引退表明していた横浜FC中村俊輔が万感のラストマッチ…試合後に明かした“第二のサッカー人生像”とは?

 J3から復帰して1年目の熊本も、必勝を期す状況にあった。キックオフ前の時点でクラブ最高位の4位。J1参入プレーオフ進出を初めて決めていただけでなく、横浜FC戦の結果次第では、大分トリニータとの1回戦をホームで開催できるかどうかが決まる。
 お互いの熱い思いが交錯した一戦は開始5分、横浜FCのミスを突いた熊本が先制。同20分にはJ2得点王をほぼ手中に収めていたFW小川航基(25)のゴールで追いついた。
 激しい攻防が繰り広げられたなかで、俊輔は前半12分に自陣中央に倒れ込んだ。試合後に「ほら」とズボンをめくりあげた右足首の患部はスパイクされ、血がにじんでいた。
 託されたポジションは3-4-2-1のダブルシャドーの一角。相手の激しいプレスを受けてゴールに近い位置でプレーできなくても、右サイドからの一発のサイドチェンジや、ワンタッチでの右サイドへの展開など、随所で黄金の左足がまばゆい輝きを見せた。
 迎えた37分。現役最終マッチのクライマックスが訪れる。
 敵陣の左サイドで獲得した直接フリーキック。ゴールまでの距離は約35mとかなり遠い。俊輔が選択した、ゴール右のポイントへ緩やかな弧を描きながら落とす軌道に小川が完璧なタイミングで飛び込むも、ヘディングシュートは相手キーパーの正面へ飛んだ。
 神奈川・桐光学園高の後輩で、ジュビロ磐田でもチームメイトだった小川へ、当時は「何か大丈夫かな、みたいな感じだった」と俊輔は正直に打ち明ける。小川が横浜FCへ加入した今シーズン。俊輔のなかで印象は変わらなかったが、四方田監督はエースストライカーに指名した。
 結果は26ゴールをマークし、2位に10ゴール差をつける堂々の得点王に輝いた。後半開始早々に2点を勝ち越されるも、同9分に追撃の狼煙をあげるゴールを決めた小川を「単純に考えてすごいよね」と称賛した俊輔は、自戒の念を込めてさらにこう語っている。
「自分の目がおかしかったんじゃないかと。そこはちょっと反省しなきゃいけない」
 俊輔の脳裏には小川に対する先入観を変えなかった点と、自分のプレースタイルだけを物差しにして、前線の選手を画一的に評価してきた過去への自己否定が駆けめぐっていた。だからなのか。日本サッカー協会(JFA)が発行する公認指導者ライセンスをすでにB級まで取得している俊輔は、引退後の第一歩を踏みだしていく上でのキーワードを「脱・中村俊輔」にすえた。

 

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