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堂安と長友が日の丸をまとい勝利の雄叫びをあげるとメディアが殺到した(写真:新華社/アフロ)
堂安と長友が日の丸をまとい勝利の雄叫びをあげるとメディアが殺到した(写真:新華社/アフロ)

なぜドーハの歓喜は2度起きたのか…スペインに逆転勝利の裏でハーフタイムのロッカー内に響き渡った言葉とは?

 ドイツとの初戦は0-1で折り返した後半で、システムを[4-2-3-1]から[3-4-2-1]へ変え、さらに次々とアタッカーを投入した森保一監督(54)の積極的な采配が的中。30分に堂安、38分にFW浅野拓磨(28、ボーフム)が連続ゴールを決めて逆転した。
 しかし、ドイツ戦の流れを変えた3バックの封印を、スペイン戦では最初から解いていた。それでも日本は、まだ繰り出していない戦い方を引き出しのなかにしのばせていた。あうんの呼吸で共有された「前からどんどんプレスをかけていこう」が試合の流れを一変させた。
 前半と同じ戦い方ではらちがあかない。そして、スペインに敗れた時点で日本は終戦を迎える。後半開始わずか3分。バックパスを受けたスペインの守護神ウナイ・シモン(25、アスレチック・ビルバオ)へFW前田大然(25、セルティック)が猛然とプレスをかけた。
 シモンはぎりぎりで前田のプレスを回避し、左サイドバックのアレハンドロ・バルデ(19、バルセロナ)へつないだ。そのトラップ際に、伊東は狙いを定めていた。
「後半の立ち上がりは、相手のサイドバックまでプレッシャーをかけようと話していたので。特に左サイドバックにパスが入ったあの場面では、僕が見えていないと思ったので」
 右ウイングバックで先発していた対面の伊東へ背中を向ける体勢で、バルデはシモンからのパスをトラップした。瞬時に「取れる、奪える」とひらめき、一気に間合いを詰めた伊東のチェックにバルデはたまらずボールを失う。そして久保建英(21、レアル・ソシエダ)に代わり、後半からシャドーの位置に入っていた堂安の目の前にルーズボールが弾んだ。
 堂安が不敵に笑う。
「かなりというか、なぜあそこでフリーだったのかがわからないぐらいフリーだったので。あそこでフリーにさせると、堂安律という選手は危ないんですけどね」
 巧みなトラップから、堂安はフリーのままボールをペナルティーエリアの右角あたりまで運ぶ。次の瞬間、迷わずに利き足の左足を一閃。ニアを狙った強烈な一撃はシモンの左手を弾き、スペインゴールへ突き刺さった。ドイツ戦に続いて決めた同点ゴール。しかも昨夏の東京五輪準決勝で零封されたシモンから奪った一撃を、堂安は再び不敵なコメントとともに振り返った。
「相手がフワッと(後半に)入った雰囲気があったので、チャンスだなと思って一発振ろうと。それほど厳しいコースにも飛んでいないし、もっとすごいキーパーかと思っていました。ドイツ戦のゴールには『ただのごっつぁんだろう』という声もあって、うるさいなと思っていたので。それをこうして結果で黙らせてよかったですし、今日ぐらいは称賛してほしいですね」
 日本に傾いた試合の流れは、3分後にさらに激しさを増した。
 右サイドで伊東から田中、そして堂安とスムーズにパスがつながる。そして、堂安が右足でグラウンダーのクロスを放つ。スペインゴール前を斜めに横切り、ゴールラインを割るとみられたボールを、堂安とともに後半開始から左ウイングバックとして投入されていた三笘薫(25、ブライトン)が折り返す。最後は飛び込んできた田中が、右太ももの付け根のあたりで押し込んだ。

 

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