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ブライトンで大活躍をしている三笘薫を森保監督は日本代表チームで先発起用する考えを示した(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
ブライトンで大活躍をしている三笘薫を森保監督は日本代表チームで先発起用する考えを示した(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

なぜ森保監督はブライトンで大活躍をしている三笘薫の「ジョーカー」から「先発起用」への”格上げ”を示唆したのか?

 当時の三笘はドリブルを徹底的に研究。主戦場をトップ下やボランチから、いま現在も得意とする左サイドへ移そうとしていた時期だった。果たして、思い描いていたドリブラーへ鮮やかな変貌を遂げた三笘は、川崎フロンターレに加入した2020シーズンに13ゴール12アシストとJ1リーグを席巻。その間に東京五輪代表候補にも選ばれ続けた。
 しかし、2021年夏の東京五輪本番では日本の力になれなかった。
 川崎の一員として参加したACLで右太ももを痛め、違和感を抱えたまま合流した影響からか。全6試合でピッチに立ったのは3度。すべて途中出場であり、メダルがかかったU-24スペイン代表との準決勝ではベンチ外だった。それでもU-24メキシコ代表との3位決定戦では、0-3から一矢を報いるファインゴールをゲット。攻撃面での非凡さを見せつけた。
 MF堂安律(24、フライブルク)やDF冨安健洋(24、アーセナル)、MF久保建英(21、レアル・ソシエダ)らの盟友たちが東京五輪前からキャップを獲得していた、W杯カタール大会を目指すA代表でのデビューも海外移籍後の2021年11月だった。
 現時点で三笘は13試合に出場しているが、先発はわずか4度。プレー時間も602分にとどまるなかで5ゴールをマークしている。ゴールのなかには日本を7大会連続7度目のW杯出場に導いた、昨年3月のオーストラリア代表戦で決めた2発も含まれる。敵地で行われたアジア最終予選で、後半39分から出場した三笘がヒーローになった伝説の一戦だ。
 しかし、W杯本番でも先発の座を射止められなかった。
 三笘は4試合すべてで後半途中か、もしくは後半開始からの途中出場だった。しかもポジションは[4-2-3-1]の左MFではなく、大会中に採用された[3-4-2-1]システムのなかで、低い位置での守備も求められる左ウイングバックだった。
 ただ、三笘にはユニオン・サンジロワーズ(ベルギー)へ期限付き移籍した昨シーズンの経験があった。不慣れな左ウイングバックを任された戦いの軌跡でインテンシティーの高い守備を体得し、攻めては途中出場で達成したハットトリックを含めて7ゴールをあげた。
 迎えたカタール大会。ドイツ代表とのグループステージ初戦で、左サイドから得意のカットインを仕掛けて堂安が決めた同点ゴールの起点になった。スペイン代表との同最終戦では、世界中から注目された“三笘の1mm”からMF田中碧(24、フォルトゥナ・デュッセルドルフ)の逆転ゴールをアシスト。日本をベスト16進出へ導く原動力の一人になった。
 違いを見せる三笘を先発で使うべきだ、という声が大会期間中から沸き起こった。しかし、三笘自身は10月中旬に右足首を負傷。リーグ戦で2試合の欠場を余儀なくされ、11月には発熱を訴えて再び戦列を離れ、カタール入りも大幅に遅れてしまった。

 

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