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横浜F・マリノスの開幕戦勝利のヒーローは193cmの大型GKオビ・パウエル・オビンナだ。ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ(写真・アフロスポーツ)
横浜F・マリノスの開幕戦勝利のヒーローは193cmの大型GKオビ・パウエル・オビンナだ。ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ(写真・アフロスポーツ)

30周年のJ開幕戦で横浜F・マリノスが白星発進…ヒーローとなった25歳“新守護神”オビ・パウエル・オビンナって誰だ?!

 30周年を迎えるJ1リーグが17日に開幕し、昨シーズンの覇者、横浜F・マリノスが2-1で川崎フロンターレを撃破した。敵地・等々力陸上競技場で“神奈川ダービー”に臨んだマリノスは、開始4分に相手のミスを突いて幸先よく先制。同19分に訪れたピンチを開幕直前に守護神へ昇格したナイジェリア人の父と日本人の母を持つオビ・パウエル・オビンナ(25)のビッグセーブでしのぐと、38分にも追加点をゲット。川崎の反撃を後半アディショナルタイムの1点に抑え連覇へ向けて好スタートを切った。

 神奈川ダービーに2万人を超える観衆

 マスク着用という条件のもとで、3年ぶりに声出し応援が全面解禁されたスタンドのボルテージが一気に上がった。金曜日のナイトゲームにもかかわらず、等々力陸上競技場へ駆けつけた2万2563人のファン・サポーターの視線が一点に注がれた瞬間だった。
 1点を追うホームの川崎が、前半19分に自陣から発動させたカウンター。細かいパスワークから、最後は左サイドバックの佐々木旭(23)がスルーパスを一閃。マリノスの最終ラインの背後へ飛び出していた、インサイドハーフの遠野大弥(23)のもとへピタリと届いた。
 背後を突かれたセンターバックの畠中槙之輔(27)も、コンビを組む角田涼太朗(23)も、必死に中へ絞ってきた左サイドバックの永戸勝也(28)も、ペナルティーエリア内へ侵入していった遠野に追いつかない。絶体絶命のピンチで、ゴールマウスを守るオビは慌てなかった。
「ああいう形で相手の選手が抜け出してきましたけれども、自分のポジションと相手選手が入ってくる角度を見ながら、冷静に対応できたと思っています」
 ああいう形とは、川崎の鮮やかなカウンターを指す。
 合図となったのは川崎のGKチョン・ソンリョン(38)の縦パスだった。これを自陣の中央へスライドしてきた右サイドバックの山根視来(29)が落とし、アンカーの橘田健人(24)が再び縦へ入れる。パスを受けに落ちてきたFW宮代大聖(22)が巧みなポストプレーから佐々木へはたいた瞬間、それまで宮代がいた前線のスペースへ遠野が以心伝心で走り込んでいた。
 ただ、あまりにも流れが美しかったからか。オビと1対1になった状況で逆に冷静さを欠き、シュートを放つまでにあれこれと考えてしまったと遠野は悔んだ。
「時間があったので変に余裕が出てしまった。思い返せば、もっと冷静にできた」
 最後はゴール右隅、それも低いコースを狙って右足を振り抜いた。しかし、あえて動かなかったオビがモーションとコースをしっかりと見極め、身長193cm体重87kgの巨躯をダイブさせる。両腕で弾き返されたボールをFW家長昭博(36)が拾い、ペナルティーエリアの外から左足を振り抜いたが、威力に欠けたシュートは左ゴールポストの左側を通過していった。
 もし追いつかれていたら、その後の展開や試合結果自体が変わっていたかもしれない。実に4シーズンぶりとなる開幕戦の勝利を、昨シーズンの覇権を最後まで争った川崎から奪った試合後の取材エリア。オビは「優勝を争うライバルに相手のホームで勝てたのはすごくよかった」と第一声を発しながら、勝利を手繰り寄せたビッグセーブを落ち着いた口調で振り返った。
「練習の段階から、シュートストップには信を持ってきました。最後は失点してしまいましたけど、止められるところは止めたいと思っていました。僕自身の成長もそうですけど、チームを勝たせられるプレーをしたいと思っていたので、その意味ではよかったと思います」

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