• HOME
  • 記事
  • サッカー
  • 「メモ指示なんか見たことがない。準備不足の采配ミス」…コロンビア戦で浮かんだ第二次森保Jの“光と影”を城彰二氏が指摘
FC東京のバングーナガンデ佳史扶に見えた“ポスト長友”の可能性(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
FC東京のバングーナガンデ佳史扶に見えた“ポスト長友”の可能性(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

「メモ指示なんか見たことがない。準備不足の采配ミス」…コロンビア戦で浮かんだ第二次森保Jの“光と影”を城彰二氏が指摘

 驚いたシーンがある。
 1点を勝ち越されると、後半33分に浅野を投入したが、彼にメモを持たせてピッチへ入れ、それをゲームキャプテンの遠藤に手渡して、フォーメーションを変えようとしたのだ。  
 言葉で伝えるのは難しいと考えたのかもしれないが、指示をメモで伝えるケースは初めて見た。結果的には浅野と上田の2トップを形成、遠藤をワンボランチにして4-1-3-2のシステムにしたが、メモを渡したにもかかわらず、一時、3バックになり、選手をベンチに呼んで指示を与えるなど、しばらく混乱していた。おそらく合宿でも準備をしていなかった即席フォーメーションだったに違いないが、異例のメモ指示も含めて森保監督の采配ミスだ。
 おそらく森保監督は点を取りにいくと同時にコロンビアの両サイドを警戒して3バックではなく4バックのままにしたのだろうが、3バックにしてワイドに開き、攻撃に転じるべきだったと思う。
 2トップにしたものの、このフォーメーションでは、互いにスペースを消してしまうので浅野と上田にボールが収まらなくなった。縦パスも使えない。無理やり入れてボールを奪われるパターンが何度もあった。

 久保もチームにフィットしなかった。
 後半13分に新型コロナの陰性証明に時間がかかり、合宿への合流が遅れた久保が、トップ下に投入されたが、劇的に流れを変える原動力とはなれなかった。後半32分には久保が左サイド深くにボールを持ち込んだが、空いていた堂安へのパスを躊躇、結局、伊東を選択してゴール機会を失うシーンも。自分一人で何かを起こせるのが彼の武器である。右に開いたりもしていたが、もっと周囲との連携力を高めなければ、彼の良さが代表チームでは出てこない。総体的なバランスや全体に与える影響と守備への貢献度を考慮すると、現状ではトップ下として「西村の方が久保より上」というチーム内評価になっているのではないか。
 個の能力では、レアル・ソシエダで5ゴールをあげるなど存在感を示している久保が上なのだろうが、代表チームに入ると空回りする。彼自身も「もっとやりたいけどやれない」というもどかしさがあると思う。
 これは久保だけでなく、今回代表漏れしたセルティックの古橋や、この日、ボランチで起用された鎌田にも言えることだが、所属チームでは活躍できるが、代表に来ると別人のようになってしまう。森保ジャパンではまず守備が優先され、守備からの攻撃への展開というコンセプトがある。代表のスタイルに適応していかねばレギュラーは遠くなる。
 一方で、この試合で光った新戦力があった。左サイドのバングーナガンデ。所属するFC東京でのプレーよりも自由自在にいい動きをしていた。高い位置へ積極的に走り、三笘は、その動きに合わせて中へ、逆に三笘が外へ開くとバングーナガンデが中へ入るなど、2人のポジショニングが非常に機能していた。おそらく周りから「思い切ってやれ」と指示されていたと思う。左利きを生かし、ウルグアイ戦でチグハグだった三笘―伊藤の縦関係に比べるとコンビネーションの差があった。守備への課題や経験値の少なさなどクリアすべき問題はあるが、“ポスト長友”としての可能性を見せた。

 

関連記事一覧