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日本ダービーで2番人気だったスキルヴィングが入線直後に倒れた。ルメール騎手が心配そうに駆け寄るが、急性心不全で天国へ旅立った(写真・東京スポーツ/アフロ)
日本ダービーで2番人気だったスキルヴィングが入線直後に倒れた。ルメール騎手が心配そうに駆け寄るが、急性心不全で天国へ旅立った(写真・東京スポーツ/アフロ)

なぜ日本ダービーで2番人気のスキルヴィングがレース直後に急性心不全で死亡するショッキングな悲劇が起こったのか?

 年に数回はレース中にも発生しており、2019年11月の京阪杯でのファンタジスト、2014年11月のオーストラリアでのメルボルンカップで急死したアドマイヤラクティが、同じ疾患。引退後の競走馬が急性心不全で命を落としているケースも少なくない。また心臓系の疾患では、今年の天皇賞・春でアフリカンゴールドが心房細動を発症して競走を中止している。
 競馬関係者の間からは、「3歳時に東京の2400メートルを中3週の間隔で2度も走るのは肉体に負担をかけて過酷かもしれない」との声もあった。
「青葉賞を制した馬がダービーに勝てない」というジンクスの理由も疲労の蓄積がそのひとつだとされてきた。だが、3着に入ったハーツコンチェルトは、青葉賞の2着馬だ。青葉賞からのローテーションで挑んだ馬としては2017年に3着だったアドミラブル以来、6年ぶりに馬券圏内に入っている。
 今回の悲劇に関しての競馬関係者の意見を総合すると、「心不全はどの馬にも起こりうること」「馬は生きもの。原因をこれだと決めることはできない」「不可抗力」という声に集約された。決して悲劇はあってはいけないし、万全の安全対策が施されなければならないが、今回、管理側には何の落ち度もなく、不可抗力のアクシデントだったとしか結論づけられないだろう。
「おそらく長く苦しまずに天に旅立ったのだと思います」という木村調教師の言葉がせめてもの救いかもしれない。
 残念ながら競馬には、予期せぬ出来事がつきまとう。今年の日本ダービーは、他にもスタート直後にドゥラエレーデが落馬で競走を中止するアクシデントもあった。
一方で皐月賞2着の雪辱を果たして2020年生まれのサラブレッドの頂点に立ったタスティエーラは、短期免許で来日しているレーン騎手の完璧なレース運びで「テン乗り(騎手の初騎乗)は勝てない」というダービーのもうひとつのジンクスを69年ぶりに打ち破った。今週からダービーへ向けて新馬戦がスタート。新たな戦いが始まる。

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