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ケニアの31歳のサウェがロンドンマラソンで1時間59分30秒の世界記録を樹立した(写真・AP/アフロ)
ケニアの31歳のサウェがロンドンマラソンで1時間59分30秒の世界記録を樹立した(写真・AP/アフロ)

「不可能の心理的限界が取り払われた」マラソン2時間切りで人類はどこまで速くなる?「30秒縮まる」アディダス製の超軽量シューズが秘密兵器 だった

 ロンドンマラソンが26日、現地で行われ、ケニアのセバスチャン・サウェ(31)が人類史上初めて2時間を切る1時間59分30秒の世界記録で連覇を果たした。2019年にエリウド・キプチョゲ(41、ケニア)が1時間59分40秒をマークしたことがあるが、これは記録達成を目的とした非公式レースだった。また2位のヨミフ・ケジェルチャ(28、エチオピア)も1時間59分41秒でゴールした。その快挙の背景と記録の意義を考察した。

「信じられないネガティブスプリット(前半を後半のタイムが上回ること)」

 ロンドンマラソンで衝撃タイムが誕生した。
 レースはペースメーカーが10kmを28分35秒、20kmを57分21秒で引っ張った。30kmを1時間26分03秒で通過して、ペースメーカーが離脱。ここからサウェとケジェルチャがペースを上げていく。30kmから35kmは13分54秒、続く40kmまでの5kmは13分42秒という驚異的なラップタイムを刻んだ。
 サウェは41km手前でケジェルチャを突き放すと、ラスト2.195kmを5分51秒で走破。2024年に交通事故で他界したケルヴィン・キプトゥム(ケニア)が2023年のシカゴで樹立した世界記録(2時間0分35秒)を一気に1分以上も塗り替えた。
 前半のハーフは1時間0分29秒で、後半は太田智樹(トヨタ自動車)が保持するハーフマラソンの日本記録(59分30秒)を上回る59分01秒。信じられないネガティブスプリット(前半を後半のタイムが上回ること)で〝サブ2〟という歴史的快挙を成し遂げた。
 現在30歳のサウェは2023年の世界ロードランニング選手権ハーフマラソンで金メダルを獲得している選手。ハーフマラソンは世界歴代9位の58分05秒を持ち、2024年のバレンシアで初マラソンながら世界歴代5位の2時間2分05秒で優勝した。昨年のロンドンで2時間2分27秒、9月のベルリンで2時間2分16秒と3レース連続で2時間2分台をマークしてい
た。
 今回のロンドンはハーフマラソン世界記録保持者のジャコブ・キプリモ(ウガンダ)、5000m・10000m世界記録保持者のジョシュア・チェプテゲイ(ウガンダ)らも参戦。超豪華メンバーが集い、気象条件は良好で、ペースメーカーの働きも素晴らしかった。記録が出る条件が揃っていたとはいえ、なぜここまでのタイムが誕生したのだろうか。

 2002年のシカゴマラソンで2時間6分16秒の日本記録(当時)を打ち立てた日本陸連の高岡寿成シニアディレクターは産経新聞の取材にこう話している。
「(現役時代は2時間切りが)可能なんて思ってもいなかった」と当時はマラソンの〝サブ2〟は夢物語だったという。しかし、近年はタイムが急上昇。「通常のコンディションで2時間1~2分台が出ていたので、近い将来こういった記録が達成されるとは思っていた。驚きはあるが想定はしていた」と〝覚悟〟はしていたようだ。
 元世界記録保持者であるエリウド・キプチョゲ(ケニア)が2019年に非公認レースで42.195kmを1時間59分40秒で走破した。この辺りから公認レースでのサブ2が現実味を帯びてきたように感じている。

 

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