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7月の女子W杯代表メンバーが発表されたが、テレビ放映のメドが立っていない。左から佐々木則夫女子委員長、池田太監督、JFA田嶋幸三会長(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
7月の女子W杯代表メンバーが発表されたが、テレビ放映のメドが立っていない。左から佐々木則夫女子委員長、池田太監督、JFA田嶋幸三会長(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

なでしこJの戦いが見られない?なぜ女子W杯のテレビ放映&配信が決まっていないのか…W杯メンバー発表も未解決の深刻問題

 

 2019年の前回大会まで、FIFAは男子W杯とのセットで女子W杯の放映権を販売してきた。しかし、アメリカやヨーロッパにおける女子サッカー人気の高まりを受けて、南半球の2か国で共催される今大会から単独での販売をスタートさせた。
 しかし、今大会から出場国数が8増の「32」となる女子W杯を商業的なチャンスととらえたFIFAが設定した金額が、各国が考えるそれと乖離していた。
 FIFAは具体的な金額を公表していない。ただ、ジャンニ・インファンティーノ会長(53)が公の場で残してきた言葉から、おのずと推察できる。例えば5月に世界貿易機関(WTO)のイベントに参加した同会長は、女子W杯の放映権交渉にこう言及した。
「女子W杯の視聴率はいまや男子W杯の50%から60%に達する。しかし、ヨーロッパを中心とした放送局からのオファーは依然として非常に残念なものだ。具体的には、男子W杯には1億ドル(約140億円)から2億ドル(約280億円)を支払うのに対して、女子W杯には100万ドル(約1億4000万円)から1000万ドル(約14億円)しか提示されない」
 インファンティーノ会長は、W杯テレビ放映権料において男女間で著しい格差が存在すると指摘。可能な限り男子W杯に近いテレビ放映権料を設定し、今回の女子W杯においていわゆる“ジェンダー平等”を実現させると世界へ向けて宣言している。
「これは女子W杯に出場する素晴らしい選手たちや、世界中のすべての女性に対する平手打ちだ。そして、女子W杯を過小評価しないのはわれわれの道徳的かつ法的な義務だ。極めてシンプルなことだが、女性にはその価値がある。今後も公平ではない入札が続くようであれば、女子W杯がヨーロッパの5か国などで放送されない状況も余儀なくされるだろう」
 実際、FIFAは3月の段階で今W杯の報酬アップを決めている。
 具体的には3000万ドル(約42億円)だった賞金総額を、1億1000万ドル(約154億2000万円)へ増額。4年後の次回大会では男子の賞金総額に並べるとした。ちなみに、昨年のカタールW杯の賞金総額は4億4000万ドル(約616億8400万円)だった。
 さらに今大会では個人に対する賞金も新設。登録された選手一人に対して、優勝国で27万ドル(約3785万円)、グループステージ敗退でも3万ドル(約420万円)が支給され、一連の賞金の原資として放映権料があてられるとFIFAは説明している。
 一連の改革に対して、FIFA理事も務める田嶋会長はこう語る。
「男子と女子の差をなくして、平等な世界にしていきたいというFIFAの考えには賛同する。今大会におけるチームや選手への賞金が、いままでにないほど高額なものになったのはそれらが反映された結果であり、ひとつの表れになったと思っています」

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