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甲子園で起きた「あと1人」コールからの悲劇が物議を醸す(写真は資料)
甲子園で起きた「あと1人」コールからの悲劇が物議を醸す(写真は資料)

阪神「あと1人」コールの悲劇から物議を醸す2つの問題……「新守護神は誰に?」&敬意に欠く応援方法はやめるべきなのか?

 8回には攻撃の誤算もあった。先頭の佐藤が二塁打で出塁したが、続く途中出場の小野寺がバントで送ることができない。バントは捕手の前でバウンド。二塁走者は挟殺プレーでアウトになった。二死一、二塁とチャンスは続いたが、岡田監督が、代打糸原を告げると、藤本監督は大津から左腕の田浦にスイッチ。ベンチには、右の渡邉諒とミエセスが残っていて、岡田監督が代打の代打のカードを切ってくるかと思われたが、「1点差。延長があるから右はいけんかった」と、糸原をそのまま打席に立たせた。暴投で二、三塁に進むもののセカンドゴロに終わった。微妙な勝負の“あや”のほつれが9回の悲劇へとつながったのかもしれない。
 
「あと1人」コールからの悲劇に2つの問題がSNSを騒がせることになった。阪神の応援団だけが採用している「あと1人」「あと1球」コールを巡っての物議と、湯浅に続き、岩崎まで打たれた虎の守護神をどうすべきかという問題だ。
 まず守護神問題を考察してみる。
 経験、実績、調子からいえば岩崎で乗り切るしかないだろう。ただ連投では、明らかにボールの質が落ちて不安要素が増えるため、休ませながら使うしかない。その際、防御率0.00の加治屋、防御率1.28のKケラーが代役の代役になるだろう。
 8回の岩貞は安定している。相性や調子を見極めながら、なんとか7回と9回をやりくりしていくしかない。岡田監督の継投センス頼みだ。
 先を見越して大胆な配置転換を仕掛けるという奥の手もないわけではない。
 岡田監督は、藤川球児しかり、オリックス監督時代の小松聖、平野佳寿しかり、先発から抑えへ配置転換する大胆な策で、選手を生き返らせてチームを強化していた。しかし、今季は、先発の谷間を埋めることを見越して、富田とビーズリーを後ろから前へ配置転換させるほどで、先発の駒を新クローザー候補に転向させる余裕がない。西純を「制球力不足を短いイニングの方が球威でカバーできるのではないか」と、先発から中継ぎへ配置転換したがうまくいかなかった。
 前監督時代に「JFK」を確立させた岡田監督だが、再調整を終えた湯浅が復活してくるまで、しばらく継投の苦悩が、続くことになりそうだ。
 そして悲劇を生んだ「あと1人」コールの問題である。
 SNS上で、この応援手法の是非を巡ってバズった。
「相手へのリスペクトを欠く行為。すぐにやめるべき」「投手にもプレッシャーをかけることになっている」「スポーツマンシップのかけらもない応援」「品位がない」など非難、批判の声が多くを占め、見直し論が高まった。
「阪神の伝統の応援」「素直な気持ちを声に出しているだけ」という継続を支持する声は少数意見に留まった。
「あと1人」コールの是非を巡っては、これまでも物議を醸してきた。今年のWBCでも、侍ジャパンがイタリアに9-3で圧勝した東京ドームでの準々決勝でも「あと1人」コールが起きて、SNSで「スポーツマンシップに欠ける応援方法はやめよう」「敗れた日本に拍手を送ったチェコを思い出そう」などの非難が殺到した。

 

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