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左からJBCの萩原理事長、平仲会長、日本プロボクシング協会のセレス小林会長
左からJBCの萩原理事長、平仲会長、日本プロボクシング協会のセレス小林会長

なぜ“替え玉ボクサー事件”が起きたのか…仲介人に騙された平仲会長の“脇の甘さ”と飲食代3万円を請求していたJBCの杜撰な馴れ合い体質

 メインではオイコラがモセスになりすました男から右フック一発だけでダウンを奪い、1分55秒にKO勝ち。さすがに平仲会長も、「プロではない。ボクシング素人とわかった」という。
 またレフェリーのビニー・マーチン氏が、試合後に、この2人と話をしたところ「日本の越谷に住んでおり、武蔵浦和であなたを見たことがある」と、驚きの発言をしたという。 
 メディアや関係者から「あの試合はおかしい」との意見を耳にした安河内本部事務局長が、後日、本物の2選手の映像を取り寄せてチェックしたところ、明らかに2選手が別人だとわかったため、平仲会長にコンタクトを取った。
 平仲会長がボビー氏に確認を取ると「選手もスタッフも別人。私も知らなかった、騙された」と吐露した。
 6月に入って平仲会長とボビー氏は、JBCに呼ばれて事情を説明。平仲氏は「すでにファイトマネーや渡航費など、かなりの金額を振り込んだ。詐欺だけど、事実確認ができるまで訴えることはしない」という。
 すでに仲介者と、“替え玉ボクサー”の2人の住所、氏名も判明した。“替え玉ボクサー”は、試合出場に必要なエンタメビザを保持していないとみられ、入管法に引っかかる可能性もある。
 安河内本部事務局長は、「誰が知っていたのか、知らなかったのか、まで踏みこめていない。ひっかかりはある。小競り合いをしたり、ウエイトも合わせてきた。そこまでセットをすることはたやすくない。結構前からの策略があったのではないか。日本にいるのに今ナイジェリアから来たと演技をして、みんなを騙すことは可能なのかとの疑問がある。一方でパスポートも出さずバレる可能性のある稚拙な計画にも思える」との見解を伝えた。
 捜査権がないJBCが、仲介者と、“替え玉ボクサー”の2人から事情を聴くことは難しいが、選手を手配した仲介者への接触は試みたいという。
 なぜ22年間、起こらなかった“替え玉ボクサー事件”を未然に防ぐことができなかったのか。安河内本部事務局長は、「プロモーターとJBCの馴れ合いと緊張感のなさが原因。管理する立場のJBC組織の危機的状況だと思う。私も理事長も含めて責任を取らねばならない」と、JBCが、派遣した試合管理部長、ジャッジ、レフェリーを含む5人が、現地での飲食代の3万円を平仲会長に請求していた事実を明かした。
 “法の番人”の中立の立場でプロモーターとは一線をひくべきJBCとしては、あってはならない失態。平仲会長も「こんな請求は初めて」と言う。

 

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