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王者のフルトンと井上尚弥はほとんど目も合わせなかった(写真・山口裕朗)
王者のフルトンと井上尚弥はほとんど目も合わせなかった(写真・山口裕朗)

なぜフルトン陣営は井上尚弥の“拳”に「証拠がある」と“いちゃもん”をつけたのか…恐怖のパンチ力への警戒…過去にパッキャオやカネロも同じクレームをつけられた例も

 JBCのルールは肌に直接粘着性のテープを貼ることを認めている。井上というより、日本人ボクサーのほとんどが、まず肌に直接粘着性のテーピングを巻き、次に長さが規定で決まっている柔らかい布製のバンテージを巻き、その上から再び長さ6フィート(約1m83センチ)までのテーピングを使って固定するというやり方を採用している。  
 ただし粘着性のテープをナックルパート部分に貼り付けてはならない。
 このバンテージルールは、米国でもネバタ州、テキサス州、ニューヨーク州で採用されているが、海外の一部の地域や国で禁じられているところもあり、フルトン陣営はそこに活路を見出そうとしたのだろう。またJBCも含め、テープ、バンテージ、テープ、バンテージと必要以上に重ねて巻く行為は「スタッキング」と称して禁じられている。「石こう」のように拳が固くなるとの指摘があるからだ。
 フルトン陣営は、この部分も問題にしたかったのだろうが、井上の巻き方は、ルールに沿ったもので「スタッキング」ではない。
 これはクレームではなく完全なる“いちゃもん”だ
 井上は、あきれたような苦笑いを浮かべて、こう反撃した。
「いやあ。なんかすごくナイーブだなと思った。自分は24戦やって全試合正々堂々と試合をしている。なんの記事を見ているかわからないが、すこしナイーブ。こちらも正々堂々と戦うのでご心配なくと」
 するとラヒームトレーナーは再度マイクを取り「ナイーブになっているのではないかと言われたが、私の仕事はフルトンが問題なく試合をできるように準備を整えること。選手のどちらかが有利になってはいけない、公平でなければいけない。パンパンになったグローブでの試合は公平ではない。フルトンを守るため公平に試合を行われるためにコメントしたんだ」と応戦した。
 なぜフルトン陣営は違反をしていない井上のバンテージに“いちゃもん”をつけたのか。大橋会長は、「意味がわかんない。今までこれで世界戦19戦を戦い、問題になったことは一度もない。何を言っているのかわかんなかった。それほど警戒している。認めてきているということなんだろうね」と受け止めた。
 あまりにも凄いパンチ力を恐れているのである。
 井上が、そのパンチ力に関して、いちゃもんをつけられたのは、今回が初めてではない。2014年12月に行われたWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチで井上が王者のオマール・ナルバエス(アルゼンチン)に初回から2度ダウンを奪い、2回KO勝ちを収めた際にも、リング上で相手陣営から「グローブに何か入れているんだろう」とクレームをつけられた。その場で外して見せると「グレートだ」と逆にクリーンな強さを称賛されたことがあった。
 実は、過去に元6階級制覇王者のマニー・パキャオ(フィリピン)や、スーパーミドル級の4団体統一王者であるサウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)などのパンチャーも、バンテージの巻き方にクレームをつけられたことがある。いずれも肌に直接テープを巻くことを「スタッキングだ」「違反だ」と抗議されたもので、2018年9月のカネロ対ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)の再戦の際には、控室にチェックに来たゴロフキンのトレーナーが、「これは違反ではないか」と猛抗議し、立会人に「違反ではない。認められている巻き方だ」と却下されている。

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