「また勝つためにズルを？」「多くのファンを獲得した」“ボールガール事件”ブズコバが全米OPで右足内転筋断裂の重傷を負いながらも最後までプレー…SNS上では称賛と非難の声が交錯

　ＳＮＳにも、その感動的な頑張りを称賛する声が寄せられた。
　ブズコバは2回戦でペトラ・マルティッチ（32、クロアチア）を6－1、6－2のストレートで撃破してキャリアハイを塗り替えた直後に「全米オープンで初めての第3ラウンドへ」とＳＮＳを更新。
　左手でガッツポーズを作る写真とともに自身のX（旧ツイッター）とインスタグラムへ短い言葉を寄せた。それが現時点で最後の投稿となっているが、そのインスタグラムに「素晴らしい。あなたはタフだ。今夜で多くのファンを獲得した」「信じられない試合。ニューヨーク市はあなたを愛しています」などというブズコバを称賛するコメントが寄せられたのだ。
　しかし、一方で全仏オープンでの“ボールガール事件”の余韻を引きずった非難、むしろ誹謗中傷に近いコメントも書き込まれ、称賛と批判の声が交錯するという異様な状況となっている。
「また勝つためにズルをしようとしたのか」
「神様、彼女があなたのルールに従うまで、大きな事件を再び与えてください」
「いつものようにトーナメントマネジャーに相手の失格を頼めばよかったのに」
　6月の全仏オープンでの“ボールガール事件”を境にブズコバの“悪名”は世界中に知れわたった。加藤組から失格を勝ち取り、ほくそ笑んだ姿などが、スポーツマンシップに著しく欠けるとして世界中のテニス関係者やファンから非難を浴びせられかけた。今大会まで沈黙を貫いたソリベストルモとは対照的にブズコバはウィンブルドン前にSNSへの投稿を再開。さらにチェコメディアに対して失格騒動の弁明や、「彼女が私たちを悪者にした」などと、加藤組への“口撃”を展開したため、SNS上の“ブズコババッシング”に拍車をかけた。
　全米オープン前にブズコバはアメリカのテニス専門サイト『tennis.com』のインタビューに答え、SNSに非難が集中する状況への苦悩をこう打ち明けていた。
「何かをシェアするたびに多くの人々がヘイト（非難）を投稿してくる、メンタル的に好ましくない日々がいまも続いている。誰もが望む状況ではないし、自分が悪者だと感じる状況に陥った経験がない私にとってはかなりつらい」
　そのつらい状況を脱却できないまま、ブズコバの今年のグランドスラムは終わった。だが、重傷を負いながらも懸命に最後までプレーした姿は、今後のファンの見方を少し変える可能性もある。前出の『iROZHLAS』によれば、ブズコバはこう言い残したという。
「これから検査に行くけど、ただの痛みで済めばいいと願っています。今後はまずリカバリーに集中して、ここまで築いた土台の上に自分のプレーを積み上げていきたい」
　来年1月の全豪オープンでは“ブズコババッシング”は収束しているのだろうか。