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ユーモアに富んだ岡田監督の優勝インタビューはファンを喜ばせた
ユーモアに富んだ岡田監督の優勝インタビューはファンを喜ばせた

【緊急連載3】幻に終わった9年前の岡田監督誕生劇と阪急阪神HD角和夫CEOとの“グ―タッチ”…巨人の原監督は「阪神って不思議な球団ですね」と言った

 阪神を18年ぶりの優勝に導いたのは15年ぶりの“再登板”となった岡田彰布監督(65)だった。緊急連載で知られざる物語に迫る。

 「あの時やっていたらなあ」

 

 もしできるのであれば時計の針を戻したい。いや15年の歳月を経て、65歳になって成し遂げた優勝だからこそ価値があったのか。
「あの時やっていたらなあ。もっとバリバリ元気にできたのにな」
 暑い夏の夜に岡田監督がふと本音を漏らした。
 あの時とは、いつをさすのか。
 今から9年前に“幻”に終わった岡田監督の再登板劇があった。
 2014年の現在2軍監督の和田豊氏が指揮を執った3年目のシーズン。6月には4位に沈んでいたチームが盛り返しを見せていた9月。当時の坂井信也オーナーは「和田ではしんどい。色々と意見を聞くと、岡田を推す声が多い。もう次は岡田で動いてくれ」と、遠征先にいた南信男球団社長に電話で命じた。南社長はすぐには岡田監督に打診はしなかったが、その方針は、別ルートで岡田監督へと伝わり、すでに組閣まで考えていた。首位を走る巨人の背中は遠かったが、チームは勢いを取り戻し、2位で本拠地の甲子園でCSを戦える可能性も出てきた。
 阪神は保守的な球団である。できるなら波風は立てたくない。
 岡田監督の再登板を指示した坂井オーナーの考えも「2位なら和田続投。3位なら解任」という方針へと変わっていた。
 そして、和田解任の場合の次期監督も、急転、岡田監督ではなく、金本知憲氏の擁立へと揺れ始めていたのだが、まだユニホームを脱いで2年しか経過していない金本氏が固辞する可能性が高く、岡田監督復帰の線が消えたわけではなかった。
 阪神が先に全日程を終え、2位か3位かの運命は広島の最終戦の結果に委ねられることになった。10月6日、マツダスタジアムでの広島―巨人戦。広島が勝てば阪神は3位、負ければ2位である。広島はメジャーに移籍する前の前田健太を先発に立てたが、プレッシャーからかリードを守れず、すでに優勝を決めていた巨人に1-4で敗れた。0.5差で阪神が2位となり、和田監督の続投が決まった。ちなみに阪神は、そのCSで広島、巨人を破る下剋上に成功して9年ぶりの日本シリーズ進出を果たした。日本シリーズではソフトバンクに1勝4敗で完敗している。当時の巨人の監督は原辰徳氏である。
「ちょっとひとこと言うとかなあかんわ」
 CS取材で東京ドームを訪れた岡田監督は、わざわざ試合前にグラウンドレベルに降りて原監督と話をした。巨人と広島との最終戦が岡田監督誕生の分かれ道だったことを遠回しに伝えると、原監督は目を丸くして「先輩!阪神って不思議な球団ですね」と返したという。
 原監督は1学年上の岡田監督を「先輩」と呼ぶ。全日本大学代表メンバーで共にプレーして以来の良きライバルである。原監督は、結果のみで監督の去就に右往左往する阪神の球団体質を疑問視したのである。
 確かに阪神は不思議な球団だった。

 

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