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久保建英(左)のアシストで伊東純也(右)が2点目を決めた(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
久保建英(左)のアシストで伊東純也(右)が2点目を決めた(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

なぜ久保建英は左足に不安を抱えながらも過密日程の中で強行出場したのか…激戦の2列目争いで示したかったものとは?

 危機察知力と状況判断力で日本のゴールを導いた場面は序章にすぎなかった。ポジションこそトップ下ながら、特に左サイドを中心に神出鬼没とばかりに久保は流動的なプレーを披露した。右への侵入を抑え気味にしたのは、個の力で局面を打開できる伊東の特長を最大限に生かしたかったから。そうした計算が奏功したのが後半24分だった。
 左タッチライン際にポジションを移していた久保が、旗手に代わって途中出場していたFW浅野拓磨(28、ボーフム)からヒールパスを受けて前へ飛び出す。体調不良で今シリーズを辞退したMF三笘薫(26、ブライトン)をほうふつとさせる左サイドの突破からマイナス方向へパス。右サイドから走り込んできた伊東の追加点をアシストした。
「わかりやすい特徴を持った選手なので、一緒にプレーするのは簡単ですよね」
 伊東との間で開通させたホットラインをこう振り返った久保は、第二次森保ジャパンにおいて、右サイドだけでなくトップ下でも貢献できる手応えを深めた。
「今日のプレーならばトップ下の方がいいと思います。僕がトップ下にいて、右に伊東選手がいる方が相手にとって脅威なのかなと。右で勝負したい気持ちもなくはないですけど、(どちらかが出ないのは)現状ではもったいない。クラブでは僕が右にいた方がクラブのためになるし、代表では中の方が僕的には、何て言うのかな、日本のためになるのかなと思う。その意味で(代表内での評価も)ちょっとは上がったんじゃないですかね」
 ただ、森保ジャパンのトップ下には今回はコンディション不良で選外となった鎌田大地(27、ラツィオ)が君臨し、そこへ南野拓実(28、モナコ)が復帰した。左サイドは絶対的エースの三笘に加えて、出場4試合で4ゴールの中村敬斗(23、スタッド・ランス)が台頭。右は伊東に加えて今回は選外の堂安律(25、フライブルク)もいる。
 不慣れな左サイドで結果を残した旗手を含めて、誰が出てもしっかり結果を残す。中田英寿や中村俊輔、本田圭祐、香川真司らが代役の効かない、唯一無二と言っていい存在感を放っていた歴代の日本代表とはまったく違うと久保は苦笑した。
「厳しいですよね。ひと昔前の日本代表がうらやましいです。すごくいいメンバーがいましたけど、さすがにいまの2列目は過去にあまり例を見ない。ものすごいビッグネームがいるわけじゃないけど、実力は確かな選手ばかりなので一番厳しいと思います」
 もちろん反省点もある。悔いと置き換えてもいいかもしれない。
「自分も点を取りたかったので、そこはちょっと悔しいですね」
 飛び上がった相手の壁の下を狙った前半12分の直接FKを含めて、チーム最多の3本のシュートを放ちながらいずれも空砲に終わった。それでも、昨年6月の対戦で0-3と完敗したチュニジアへの雪辱を果たした日本は、6月シリーズから続く破竹の連勝を「6」に伸ばした。しかも、カナダ戦までは5試合連続で4ゴール以上をマーク。メディアやファ・サポーターの間でも期待が高まっているのを、もちろん久保も感じていた。
「毎試合4点以上を取ってきたので、欲を言えばあと2点はほしかった。ただ、このレベルの相手なら強化にならない、と言っている人もいるかもしれないけど、チュニジアは強いチームでした。この間の韓国戦では0-4で負けていますけど、あの結果には実力差以上のものが出ていた。その意味ではカナダ戦を含めて、この1年間で負けている相手にこうして結果を残せたのは、いまの代表チームの成長がそのまま出ているのと思っています」

 

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