全日本大学駅伝で駒大が4連覇。区間記録を塗り替えた2区の佐藤圭汰がMVPを獲得した(写真:SportsPressJP/アフロ)
全日本大学駅伝で駒大が4連覇。区間記録を塗り替えた2区の佐藤圭汰がMVPを獲得した(写真:SportsPressJP/アフロ)

「強すぎる」駒大に箱根駅伝への死角はあるのか?

「区間に関しては山もいますし、エース区間(2区)を走れる選手もいます。ウィークポイントはないかなと思うんですけど、まだまだハーフを走れる選手は多くないので、そこですかね。ハーフの距離をしっかり走れる選手を10人以上揃えることが、これからの2カ月で大切になってきます。前回は直前に起用したかった選手にアクシデントがありました。それでも勝てたのは選手層が厚かったからです。箱根に向けては選手層を特に意識していますね」

 大八木弘明総監督にも同じ質問をぶつけてみた。
「弱点はありますよ。まだ選手層がちょっと薄い。箱根は15人ぐらい、誰を使ってもいいような選手層を揃えないといけません。前回は花尾と佐藤がいなくてもカバーできた。まだそこまでの選手層にはなっていませんよ」
 ふたりともほぼ同じ答えだった。主力選手のアクシデントに対応できるだけの選手層はまだないが、それ以外は特に不安はないようだ。

 では、自力で駒大に勝つ戦略はないのか。
 前回、往路で駒大と競り合い、総合2位に入った中大の藤原正和駅伝監督にも駒大の弱点を聞いてみたが、「いやないでしょ(笑)。もう完璧すぎますよ。もしあるとしたら、チーム内の競り合いが過剰になりすぎて調整ミスがあるかどうか。でも、大八木さんと藤田さんがしっかり見てらっしゃるので、その可能性もほとんどないでしょうね」という答えだった。
 しかし、駒大に勝つチャンスがないわけではない。それは〝先制攻撃〟を仕掛けて、王者を焦らすことだ。
 駒大は序盤区間でトップに立って、悠々とレースを進めるのが勝ちパターン。昨季の三大駅伝と今季の出雲と全日本を振り返ってみると、トップとの差は最大で19秒しか引き離されていないのだ。
 駒大のメンバーを考えると、3~10区で互角以上の勝負をするのは非常に難しい。しかし、ライバル校が2区までに〝大量リード〟を奪うことができれば勝機を見出すことができるかもしれない。
 中大・藤原監督も、「今回は優勝狙いで、(駒大に)背中を見せたいという思いで来ました。それはできませんでしたが、箱根でも今回目指したような駅伝をするつもりです。前半でしっかりと背中を見せる。こちらから動かないと、向こうに変化は起こらないと思うので、我々の強さを出せるように仕上げていきたい」と正月決戦を見すえていた。青学大・原監督も「他大学を含めて(駒大を)先頭にいかせてはダメですよ」と話している。
 駒大の2年連続となる駅伝3冠を阻止するには、1区から仕掛けていき、王者を揺さぶるしか方法はないだろう。
(文責・酒井政人/スポーツライター)

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