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神戸の大迫勇也がMVP&得点王をダブル受賞した
神戸の大迫勇也がMVP&得点王をダブル受賞した

なぜ神戸の大迫勇也は33歳になっても「半端なかった」のか…MVPと得点王をダブル受賞

 相手ボールを奪うや最前線の背番号「10」に素早くつける。ボールキープに長け、周囲の味方を生かす術も心得た大迫を中心とした無骨な戦い方が確立したなかで、自分が欠けるわけにはいかない、という覚悟と決意がコンディションを維持させた。
 鹿児島城西高から鹿島入りした2009シーズンに、大迫はJ1リーグ優勝を経験している。もっともルーキーイヤーだけにベンチスタートがほとんどで、22試合、849分間プレーして3ゴールだった。今シーズンはまったく違うと優勝後に語っている。
「当時は(鹿島の)先輩たちにいい背中を見せてもらったと、いまでも感謝しています。今回はそうした背中を僕たちが見せる番だったし、実際に優勝した成功体験が若い選手たちの自信となって、さらに成長させてくれると思っています」
 2014年1月から戦いの場を移したドイツでは、足もとの器用さを買われてトップ下などで起用されるケースも少なくなく、7シーズン半プレーして一度も2桁ゴールをマークしていない。しかし、大迫本人はストライカーの矜持を常に忘れていなかった。
 前述したように鹿島時代の2013シーズンには19ゴールをマークするなど両足に頭と、体のどこからでも得点できる万能型のストライカーでもある。開幕から好調をキープし、最前線で放つ存在感がどんどん大きくなっていった跡を物語るコメントがある。
 今シーズン20ゴール目を決めた大迫が自己最多記録を更新し、さらに2位のマリノスに快勝して優勝へ大きく近づいた9月29日の第29節後だった。
「僕にゴールを取らせてくれるチームになってきている。そこが一番大きいですね。僕一人でゴールを取れるタイプではないので、本当にチームメイトに感謝したいですし、これからもゴールだけでなく前線で起点になるプレーを常に心がけていきたい」
 その後も2つのゴールを積み重ねて、ロペスとタイトルを分かち合った。得点王という肩書きがつくのは、いまも一大会の最多記録としてさん然と輝く10ゴールをあげて、母校を準優勝に導いた2008年度の全国高校サッカー選手権以来となる。
「僕自身、まだまだフィジカルは鍛え上げられると思っているし、この冬はそれに挑戦しようかなと思っています。なので、楽しみにしていてください」
 高校3年次で対戦した相手選手から「大迫、半端ないって」と畏怖された言葉が、いまもそのまま語り継がれる大迫は不敵な笑みを浮かべながら、挑まれる立場となる来シーズンへ「半端ない」のレベルをさらにワンランク上げると誓った。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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