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阪神の岡田監督が18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一をやってのけた
阪神の岡田監督が18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一をやってのけた

【阪神“アレ”の感動回顧】“あの時”岡田監督は本当に泣いていたのか…知られざるオリックスとの日本シリーズ秘話

 第4戦にも知られざる両軍ベンチの駆け引きがあった。
 岡田監督が話を切り出したのは、3-3で迎えた8回のオリックスの攻撃だった。この回から投入した石井がピリっとせず一死一、三塁のピンチを迎えた。中嶋監督は、小田に代えて代打のT―岡田をコールした。岡田監督は、すぐさまベンチを出て左腕の島本にスイッチした。すると、中嶋監督は代打の代打として安達を送ってきたのである。
「ベンチを見てたよ。代打の代打はわかっていた。ハッキリ言って、あのままTー岡田の方が嫌やったよ。引っ張られてゴロで1点やからな。安達なんやから、セーフティースクイズを仕掛けてくると準備していた。でもなんも動かなかった。動かなかったんやなくて動けんかったんやろうな」
 安達は三塁ゴロ。走者が突っ込んだが本塁で憤死となり、ここで岡田監督は、なんと6月以来、ファーム調整が続いていた湯浅をサプライズ起用したのである。
 甲子園の空気が一変した。湯浅が中川を1球で仕留めてピンチを脱出すると、9回にさらなるドラマが待ち受けていた。中嶋監督は、ワゲスパックをマウンドに送る。一死から近本が四球を選び、足で揺さぶり、連続暴投を誘い、一死三塁のサヨナラ機を演出すると、中嶋監督は、中野、森下を連続の申告敬遠で歩かせて塁を埋めたのである。
「あれもわかっていたよ。三塁まで進むとゴロゴーがあるからな。塁を埋めておいてフォースアウトの態勢を作っておきたかったんやろう。でも、そうなるとワゲスパックに押し出しの心理的プレッシャーがかかる。どっちのリスクを取るかなんやけどな。計算してゴロが打てる確率はどれだけある? ワゲスパックが出てきたところで勝負ありよ。こっちが出されて嫌やったのは平野よ。先攻めのチームが守護神を同点の9回に出さないのはセオリーやけど、経験のある平野が来るのが嫌やった。流れが変わる可能性があるからな。オレやったらそうした」
 大山のサヨナラ打で2勝2敗の五分に戻した。負けていれば逆王手をかけられるところだった。岡田監督は、将棋が趣味で、わざわざオリジナルの将棋番組を持つAbemaと視聴契約をしているほど。認定の段持ちでもある。「1手先、2手先だけやない。もっと先の先の先まで読む。そして相手がどう出てくるか。その駆け引きがおもろいんよ」。その先を読む勝負勘は野球でも生かされている。
 相手ベンチの思惑を考え、何をされたら嫌かを想定して動きを読む。
「やられたら嫌やな」という采配を想定して、そのもうひとつ先を準備するのだが、中嶋監督は、岡田監督が「やられたら嫌」という采配をしてこなかった。

 

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