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阪神OBの鳥谷敬氏が佐藤輝明を約1時間にわたってマンツーマン指導した(写真・黒田史夫)
阪神OBの鳥谷敬氏が佐藤輝明を約1時間にわたってマンツーマン指導した(写真・黒田史夫)

阪神の佐藤輝明は“鳥谷イズム”の注入で「三塁の達人」となり岡田監督の信頼を勝ち取れるか?

 阪神OBの鳥谷敬氏(42)が6日、沖縄の宜野座キャンプで臨時コーチとして守備面を熱血指導、特に佐藤輝明(24)を約1時間にわたってマンツーマンで教え“鳥谷イズム”を注入した。鳥谷氏は「守備は練習すれば良くなる。自分で安心して守れるようになれば打撃にも生きてくる」との期待を寄せた。昨季の佐藤の失策数はチーム最多の20。守備を基本方針とする岡田彰布監督(66)の期待を裏切ったが、鳥谷氏の指導がスーパースターへブレイクするきっかけとなるのか?

 鳥谷氏が約1時間の熱血指導「グラブを引くな」

 整備されたサブグランドでの鳥谷教室は、佐藤、木浪、中野の3人で始まった。鳥谷は、木浪を後ろから背中を押して1歩目のスタートをより早くするタイミングを指導するなどしたが、45分を過ぎると、佐藤一人だけを残してマンツーマンでの特別講義。身振り手振りを交え、実際に動きの手本を示しながら熱心に教えた。
「ボールにどう入るか、どう体を使うかという一連の動きを重点的にやった」
 捕球からスムーズにスローイングにつなげるためのボールへの入り方、体の向きという守備のベース部分を細かく修正。続いてグラブの使い方を教えた。
「ベースが(グラブを)引く形になっていた。もっと入っていくことが必要」
 佐藤はグラブを引くように使うケースが目立つ。グラブを前に出して前でさばく。それがイコール、捕って投げるの一連の動作に余裕を持たせることにつながる。佐藤はグラブを引くので、必然的に捕球を確認しようと頭の上下に動く。鳥谷は頭を動かさずにできる限りに無駄なアクションをつけないことを悪い例といい例を見せながら示した。
「打球によって違うが、彼は難しい打球も簡単な打球も同じ捕り方だった。難しい打球はより難しくなってしまう。捕りやすい打球には、楽な形で入ることが必要で、それができれば、送球方向へ力が向き、送球も楽になる。5、10センチの動きの差で、投げる距離が短くなれば、ファーストまでの距離で言えば1、2メートルの違いになる。ミスをしたときも最小限で留まる」
 昨年はチーム最多となる20個のエラーを記録した。リーグではヤクルトの村上の22個に続くワースト2位の記録。雑なプレーと送球ミスが目立ったが、軽率なグラブさばきに見えたのは、グラブを引いていたからだ。体の向きを変えてグラブを前に出すだけで、ジャックルなどのミスを犯した場合の対処にも余裕が生まれる。
 岡田監督は「基本は守備から」とキャンプイン前のミーティングで改めてチームの基本方針を確認している。打撃は水モノだが、まず守れなければ、チーム内競争を勝ち残れないことになる。佐藤にしてみても、守りに目をつぶって打のポテンシャルが優先されるわけではない。まだ佐藤は今キャンプで岡田監督の信頼を勝ち取っていない。
「背中に目がついているのか?」と驚くほど、グラウンドの端から端までに目配せをする岡田監督は、佐藤が3日に行っていた特守を見て、その取り組み方にクビをかしげていた。
 この日は、早出で小野寺が鳥谷氏から三塁のポジションで指導を受けた。ノイジーも元々は三塁が本職。二軍で調整中の糸原も三塁なら守れる。岡田監督は連覇に向けて新しい力やチーム内の活性化が必要だと考えており、もし佐藤が「打てない」「守れない」となれば、レギュラーは固定されないだろう。

 

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